内容説明
反グローバル主義に徹底反論!アメリカと中国の分断は世界を貧しくする。
目次
第1章 世界経済の分断がはじまっている
第2章 グローバル化で経済は成長するのか?
第3章 反グローバル化は人間の本能か?
第4章 グローバル化によって所得格差は拡大するか?
第5章 グローバル化で「対岸の火事」が飛び火するか?
第6章 グローバル化は国家安全保障の脅威となるか?
第7章 ポストコロナ時代のグローバル戦略
第8章 冒険心で日本経済を再生する
著者等紹介
戸堂康之[トドウヤスユキ]
早稲田大学政治経済学術院経済学研究科教授。1967年大阪府生まれ。1991年東京大学教養学部卒業。学習塾経営を経て、2000年スタンフォード大学経済学部博士課程修了(経済学Ph.D.取得)。2000年‐2001年南イリノイ大学経済学部助教授。2001年‐2005年東京都立大学経済学部講師・助教授。2005年‐2007年青山学院大学国際政治経済学部助教授。2007年‐2014年東京大学新領域創成科学研究科国際協力学専攻准教授・教授・専攻長。2014年より現職。日本国際経済学会小島清研究奨励賞受賞(2017年)。国際経済学、開発経済学、ネットワーク科学の分野で、経済の発展や強靭性に資する実証研究を行っている。査読付き英語論文50本以上(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キク
62
コロナとウクライナ侵攻から、自国保護主義への動きが強まった。著者は様々なデータを検証して「身内との強い絆」と「よそ者との緩い繋がり」を同時に実現することが最適だと結論づける。まぁ、そうだよな、純化して硬化した組織の最大出力の高さと脆さって、この国の歴史のあちこちに実例があるわけだし。父親が転勤族だったので4年以内の引越しを繰り返して、今まで20の自治体に住民票を置いてきたことが、僕の性格形成に与えた影響って大きいんだろうな。どこかで「俺はよそ者で、ここは仮の場所だ」と思っていたし、正直、今も若干思っている2023/02/25
おせきはん
23
よそ者(外国)とのつながりが世界経済を成長させてきたことに関する経済学の研究成果を踏まえ、適切な国際ルールづくりを通じた国家間の対立克服を提唱しています。米国と中国が対立する中、両国が納得できる国際ルールに基づく世界経済の安定化は、日本を含む両国以外のよそ者にも重要です。両国だけに任せず、他国間での協議により、具体的な国際ルールづくりと実効性を確保するのが大切だと思いました。2020/12/11
ta_chanko
13
三人寄れば文殊の知恵。とにかく他者・他社・外国とつながることがイノベーションや高い生産性を生み出す。信頼に基づく太い関係も大切だが、ネットワークを多方面に広げてリスクヘッジをはかることも必要。グローバル化の進展により格差が拡大し、タテの信頼関係が壊れていることが課題。米中対立が深まる中、すべてのステークホルダーがタテ・ヨコ両面で信頼を深められるようなルール・制度づくりが日本に求められている。2021/05/07
suma2021
5
保護主義への流れに警鐘を鳴らし多様なネットワークを分散させることを勧めている。前半はOPイノベーションや統計含め、あらゆる事例からグローバル化のメリットを羅列。論説も平易な書き方で読みやすい。反面経済学に精通している人は恐らく物足りないと推測。 気になった記述内容は2点。グローバル化で国際間での格差は狭まるが先進国内では格差が広がること。もう一点は、バリューチェーンの高付加価値分野で外のネットワークが必要とのこと。前節はスキルの課題から労働力の流動が困難。後節は高付加価値こそ国内でと思うのは古い考えなのか2021/05/05
aonatsu7
5
大学院時代に指導を受けた先生。飛ばし読み。コロナ禍でつながりのあり方が一層問われているが、この本はとにかく多様につながることの良さを論じている。他国、他県、集中ではなく出来るだけ分散すること。ひとつひとつの研究成果はそうなのだろうなあと思うのだが、めちゃくちゃ多様で分散してる組織がそのおかげで上手くいくというイメージは出来上がらず、納得感は浅かった。知的生産には地理的集積が必要というところは自分の仕事にも関わり面白かった。あとはネットワークを分析する際の、スモールコミュニティ、ループという概念を学んだ。2021/03/08