内容説明
本書では、ロマン主義における共同性論に着目するとともに、その現代的展開として、今日その言葉の本来の意味で最も根源的な思想家・石牟礼道子の近代批判と共同性論をとりあげている。
目次
第1部 時代転換―解体から再生へ
第2部 ロマン主義と共同性
第3部 石牟礼道子のロマン主義―文明論と共同性論
補論1 石牟礼道子と現代
補論2 対談 石牟礼文学の世界―新作能「不知火」をめぐって
補論3 共生の思想構造―近代を超えて
補論4 地域思想の可能性―思想の脱近代
著者等紹介
岩岡中正[イワオカナカマサ]
1948年熊本市生まれ。1970年九州大学法学部卒業。1976年九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得。熊本大学法学部教授(政治思想史専攻)、博士(法学・九州大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マウンテンゴリラ
2
石牟礼道子氏が、近代的利便性、合理性、効率性こそが人々を幸福にするというまやかしを、深いレベルで認識し、批判した希代の作家であったということがあらためて実感させられた。また、ただの反時代的批判者というに止まらない、本当の意味での現代思想家のひとりであるということにも新たな気付きをもたらしてくれる書でもあった。水俣病という日本近代化の負の遺産のことを知らない日本人はほとんどいないだろう。しかし、それがたんに近代化の悲惨な犠牲というだけではなく、過去の日本人が持っていた象徴的な良き精神、生活の喪失→(2)2018/03/30