出版社内容情報
内容説明
乱歩が多感な少年時代を一番長く過ごした名古屋。明治末期の、保守と革新が入り混じった地方都市モダニズム文化の洗礼を受けたことが、乱歩の感性に何を刻印したのか。
目次
第1章 浅草崩壊/大須の寂れ(『押絵と旅する男』喪失事件;浅草のロビンソン―その原点は名古屋に ほか)
第2章 名古屋モダニズムと平井家の興亡(父・繁男の軌跡―明治モダニズムの一典型;明治期名古屋の経済界と平井家 ほか)
第3章 原っぱの中の人工楽園(旅順海戦館の思い出;名古屋の博覧会―モダニズム都市への出発点 ほか)
第4章 活字へのフェティシズム/映画の夢(別世界への入口―活字との出会い;涙香との出会い―貸本屋大惣 ほか)
エピローグ ふたたび大須ホテルへ
著者等紹介
小松史生子[コマツショウコ]
1972年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士後期課程修了。金城学院大学文学部日本語日本文化学科助教授。専攻は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しぐれ
2
私の中で今第二次乱歩ブーム。 この本片手に名古屋を歩いてみたい2013/04/11
紅独歩
2
乱歩の作品に横溢する下町趣味が、浅草ではなく名古屋・大須に発するものだという指摘は非常に興味深い。乱歩自身はほとんど書いていないらしいが、彼が「黄金時代」を過ごした名古屋との関係は、もっと注目されるべきだろう。横溝正史の持つモダニズムが乱歩を追い詰め、その「反モダニズム」を植え付けたのが、モダンになり切れなかった都市・名古屋だというのだ。名古屋が持つ中途半端さは、意外と奥が深い。それにしても、乱歩が幽霊を見たという大須ホテル、現存していれば良い観光スポットになっただろうに。2013/01/30
木之下
0
名古屋の中にある乱歩の軌跡をたどる。あの名作もここから生まれたのかも?学生時代の乱歩が知りたい方はぜひ2017/05/03