内容説明
黒鍬とは誰なのか。その源流を「クワ」という道具に発し、戦国・江戸の世で農作業、生産基盤、景観、地場産業などで水土にかかわってきた彼ら。謎めいた者たちの姿を水土文化研究家が追う。
目次
序 謎めいた者たち
第1話 戦国を駆けめぐる―「お役目」としての黒鍬その一
第2話 平凡に過ぎ行く日々―「お役目」としての黒鍬その二
第3話 石と河原の者―“石の達人”としての黒鍬その一
第4話 山の者、そして花咲く百の姓―“石の達人”としての黒鍬その二
第5話 西のオワリ―「タビ」としての黒鍬その一
第6話 サトとタビ―「タビ」としての黒鍬その二
第7話 彼と鍬とは唯一体―「モノ」としての黒鍬
終章 我々はどこから来たのか我々は何者か我々はどこへ行くのか
著者等紹介
広瀬伸[ヒロセシン]
1955年大阪市生まれ。水土文化研究家。京都大学で農業工学および人文地理学を学んだ後、1979年に農林水産省に入省。東京都内および関東地方の本省や関係機関のほか、福岡県筑後地方、岡山県笠岡市、青森県、鹿児島県徳之島などで勤務し、2015年に退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さすらいの雑魚
30
戦国三英傑の覇業の陰に黒鍬さんがいた!とは私の妄想ですが、でも、彼等の戦略の核にある付城や陣城の建造に大野の黒鍬が活躍しなかったはずが無い。 乱世の戦闘工兵=黒鍬衆は降り注ぐ矢弾をものともせずに土を掻き上げ突き固める筋骨隆々の特攻野郎。刺青も鮮やかなモロ肌脱ぎの黒鍬さんは仕事の邪魔をする五月人形どもを自慢の黒鍬で殴り倒したはず。信長の弟で茶人で有名な織田有楽斎が大野湊の近傍に築城した大草城は急勾配の土塁を廻らす土の城。大野の黒鍬の実力を今に伝える沈黙の要塞と私は思う。そんな地元の城を想いながら読んだよね。2023/02/11
四不人
4
これこそ、読みたかった本。こういう研究をしたかった本。時代も地域も幅広くデータや史料を集めているのに、一部がフィクション仕立てだったり、小説やマンガの領域までカバーしていて、普通の専門書とは全く違う。史料の読みや、仮説の展開には若干無理筋もあるが、著者の熱意で読まされてしまう。理系らしい技術論「誰が何をしたか、ではなく、その技はどこから伝わったかを知りたい」には深く共感。元・官僚にはこんな人もいるんだなあ。今期イチオシ。人を選ぶけど。2019/09/28
AMOROS
2
私の知らない黒鍬の世界が広がってて、楽しかった2019/06/30