内容説明
本書は、物理化学の専門書であるが、同時に問題の性質上広範な読者を想定しており、その点で、序説はきわめて平易な形で問題の所在を示してある。水・水溶液系の構造・物性という本書の主題の現代科学としての出発点となったのは、1933年のBernalとFowlerの研究であり、以後約半世紀の展開がある。本書の内容で中軸となっているのは60年代以降今日に至る約4分1世紀間の学問の展開であるが、叙述の体系性という点から、可能な限り、編年史的叙述をとり、今日からみて、すでに歴史的成果として位置づけを明らかにすべき点については、評価を含めて総括的に述べた。
目次
序説
第1部 液体論の新たな展開(液体の統計力学的理論の発展;計算機実験の液体への適用―MID法およびMC法)
第2部 水の液体構造(水の構造模型・理論の展開―1930年代~60年代まで;水の液体構造研究への計算機実験の本格的適用;水の統計力学的理論の展開;中性子回折を中心とする水の液体構造研究の新たな展開;水の構造模型―理論・計算機実験・構造解析の立場からの総括)
第3部 イオン―水間相互作用(イオン―水間相互作用の特徴と本質―水の液体構造に及ぼす溶存イオンの影響;イオン―水間相互作用理論の進歩―電解質水溶液論の新しい展開)
第4部 疎水相互作用(疎水相互作用概念の検討;疎水相互作用の理論的展開)