内容説明
ユルゲン・アショフは20世紀の傑出した科学者の一人である。彼は人の体内時計の発見で世界的に有名になり、時間生物学の基礎を作った。本書は、彼の人生における重要な場面と科学的活動を記載している。彼の研究所、ドイツ・バイエルン州、エーリング・アンデックスのマックス・プランク行動生理学研究所は時間生物学のメッカとなり、その開放的な雰囲気から、多くの科学者や学生達が世界中から集まった。ユルゲン・アショフは天分にめぐまれた研究者、講演者そして教師であり、何度もノーベル賞に推薦された。ユルゲン・アショフとその家族の歴史は、1世紀に渡る怒濤のような学術、社会、政治の変革期を生き生きと語っている。生物リズム研究が勢いよく展開されていった時代、アショフはその基本概念を彼の知性と人間性で形作った。ドイツの現代科学史は、国家社会主義の影響にあった学生や研究者の人生を記述することで、特別に描き出される。
目次
1章 系譜―啓蒙と医学の150年(1740‐1913)
2章 フライブルグの幼少期、ボンの学生時代(1913‐1939)
3章 氷水の中の手―戦時の研究と愛(1939‐1945)
4章 代理人―ゲッチンゲン、ヴィルツブルグ、ハイデルベルグ(1945‐1958)
5章 生物時計―前史(~1960)
6章 エーリング・アンデックス―科学の砦(1960‐1971)
7章 地下壕実験室(1964‐1989)
8章 超有名人(1971‐1981)
9章 2人の法王―友情と競争(1958‐1996)
10章 帰郷―フライブルグの引退生活(1981‐1997)
11章 ノートバイラの墓標(1997‐1998)
補足
著者等紹介
ダーン,サージ[ダーン,サージ] [Daan,Serge]
1940‐2018。オランダ王国ムック生まれ。アムステルダムで研究を始め、冬眠のテーマで学位を取得する。その後4年間、博士研究員としてユルゲン・アショフとコリン・ピッテンドリックのもとで近代的な時間生物学の基礎を学ぶ。2人のメンターとのアンデックス(バイエルン)のマックス・プランク行動生理学研究所、及びカリフォルニアのスタンフォード大学での出会いは、その後の科学的経歴に大きな影響を与えた。1975年から退職する2009年まで、グローニンゲン大学の教授(行動生物学のニコー・ティンベルゲン主席)として研究と教育に従事し、最後は数理自然科学部の学部長として大学の管理運営に携わった。2006年、国際生物学賞受賞
本間研一[ホンマケンイチ]
1946~。札幌出身。北海道大学医学部卒業。1973年アンデックスのユルゲン・アショフを訪れ、1979年にマックス・プランク行動生理学研究所でリズム研究に従事する。帰国後、日本で初めて人を対象としたフリーラン実験を行う(1984年)。1984年から「生物リズムに関する札幌シンポジウム」を隔年で開催、2003年には第1回時間生物学世界大会を札幌で主宰する。1992年に北大医学部生理学講座の教授となり、多くのリズム研究者を育成する。2010年定年退職し、現在はアショフ・ホンマ記念財団理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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