内容説明
宮沢賢治は元祖「セカイ系」だった!?小説、マンガ、映画、アイドル、ゲーム、ネット空間…錯綜する日本のサブカルチャーを読み解く。
目次
はじめに―日本サブカルチャーを読むための史的展望
1 サブカルチャーの多様な展開(セカイ系文学の系譜―宮沢賢治からゼロ年代へ;山川直人『100%の女の子』における合成の機能―村上春樹の原作小説との対照;『食堂かたつむり』試論―倫子のイメージをめぐって;生と死の狭間で歌う少女―AKB48から美空ひばりへ、リン・ミンメイへ;ドライビングゲームにおいて、いかにして「物語」はマウントされるのか、あるいはされないのか)
2 キャラクターから複数の物語へ(“操り”という亡霊―東川篤哉『ここに死体を捨てないでください!』;pixivという未来―「クィア・アダプテーション」としての二次創作;“関係”を書くことの可能性―百合小説・中里十『君が僕を』論;ミステリとライトノベル―谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズにおける物語世界の構成)
3 サブカルチャーを理解するための新たな枠組み(物語としてのゲーム/テレプレゼンスとしてのゲーム―『バイオハザード』を例として;サブカルチャー批評の現在と未来―三・一一以後のサブカルチャー批評は何を表象すべきなのか)
あとがき―戦前期の大衆文学論に触れながら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とら
8
AKBでここまで研究できるんだなあと。ハルヒとかはやっぱり歴史において重要な位置についているんだなあとも。2018/07/19
はすのこ
7
悪魔ぱるるには笑った。2016/02/11
わんにゃん
5
宮沢賢治作品にはセカイ系的な想像力が働いている。ジョバンニとカムパネルラの関係の小状況が銀河鉄道に乗ることで宇宙へとダイレクトに接続し、「みんなの幸」という抽象的な大問題が提起。つまり、どこまでも二人で進んでいきたいという友愛関係と、世界の幸福という大状況が無媒介に結ばれているのが「銀河鉄道の夜」。2021/06/15
臓物ちゃん
4
食道かたつむりから首都高バトルまで、縦横無尽にサブカルを論じた論文集。お気に入りの論文は、「エレンたち別次元ででもいいから幸せになってほしい…」という祈りとしてのピクシブを論じた岩川ありさのと、焦土の中の美空ひばりや戦果の中のリン・ミンメイのようなアイドルと戦争の関係を論じた千田洋幸のもの。自衛隊のCMに出てた島崎遥香を「死の天使ぱるる」と呼ぶのカッコよすぎる…!2016/02/04
kiji
2
★2。興味あるネタだったので読んでみましたが、私には難しすぎました。引用が多いので分かりにくい上、文章も論文なので理解が追いつきません。同様の研究をしている学者さん向け。宮沢賢治、村上春樹がサブカルなのは同意。他は美空ひばり-リンミンメイ-AKB48の関係、「涼宮ハルヒ」がよく出来ているという分析は面白かったです2015/07/06