内容説明
「僕はアイヌ語学者ではありません。民族学者とでもいったらいいのでしょうか」と語る著者が文化の一つの表現という意味での言語を語り、アイヌとして、正確なアイヌ語を研究することを通して、その祖先の文化を語った書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
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アイヌ語及びアイヌ文学に関する論文やエッセイが北海道の出版社により最近まとめられた。同じ著者の体系的な「アイヌ文学」を補うものとして興味深い。彼は真摯な言語学者だった。そのため、和人のアイヌ研究者やマスコミのアイヌ語解釈のいい加減さに我慢ならなず、批判をよくしたようだ。すると「偏狭だ。思いあがっている」と袋叩きにあった。彼は「名誉ある孤立を守って地味な仕事をコツコツ続ける」と宣言する。それが自分の『愛国心』だ、と言うところが日本における少数民族としての矜持が示され立派だ。本書でその一端が証明されている。2015/05/09
Ayako Sawa
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アイヌの暮らし、世界観、民話
寛理
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和人は舟を食う、という表題には、金田一京助をふくむ非アイヌによる高みに立ったアイヌ語研究への批判が含意されている。個人的に面白かったのは、性器へのタブーが魔力によって根拠づけられている点と、アニミズムと狩猟生活とを両立させる世界観である。そしてそれらが言葉から導き出されている点が面白い。2021/05/11