内容説明
親鸞が拓いた信心の世界とは。ゴータマブッダ・大乗仏教の根本原理に立ち返り、日本人の宗教観と浄土真宗における信心理解を問い直し、親鸞が開顕した念仏の仏道の現代的意義とその可能性を解明する。
目次
現代社会と親鸞の思想(宗教と時代社会;現代の社会状況 ほか)
現代真宗真偽論―まことの真宗とうその真宗(阿弥陀仏は実体的存在か象徴的存在か;真宗信心は一元論か二元論か ほか)
親鸞と蓮如(親鸞思想の特性―蓮如との対比において;蓮如における真宗理解の特性 ほか)
真宗信心の社会性(西本願寺伝統教学における信心の社会性;真宗信心の基本的意義 ほか)
著者等紹介
信楽峻麿[シガラキタカマロ]
1926年広島県に生まれる。1955年龍谷大学研究科(旧制)を卒業。1958年龍谷大学文学部に奉職。助手、講師、助教授を経て1970年に教授。1989年より龍谷大学学長に就任。1995年定年退職。現在、龍谷大学名誉教授。文学博士。仏教伝道協会理事長
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感想・レビュー
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あべちゃん
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2年間学校で学んだこととはほぼ真逆のことを著者の先生は仰っています。今まで僕らが勉強していたのは本当の親鸞の教えではないと。若干のショックがありましたが、「信」を得ることとは、自分1人で完結することではなく、自主的な目覚めのもとに起きて、同時に社会の皆さんが幸せにならないと私の幸せはありえない、そんなことを親鸞が言っていたのかもしれないなぁ、と。痛烈な本願寺批判もなかなか面白かったです。2014/04/02
ゆで卵
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親鸞の思想は、外部に神など絶対的なものおいてそれに頼るという二元的なものではなく、自分自身が考えに納得していきさとりに達するという一元的なものであるということがこの本では繰り返し述べられている。しかし現代の浄土真宗では前者の二元的解釈のほうが優勢となっている。何故ならば、個人が自分の考えを持つよりも、時代に迎合しないと浄土真宗が存続出来ないから。そのために自分自身をいやしめる結果になってしまっているそうだ。現代の日本の宗教は本当に大変だ・・・2010/11/24