内容説明
『宗教哲学骸骨』に続く、現代語訳の第2弾!有限の無限への転化・発展を仏教の核心とし、自力・他力の発生を解明にした面目躍如たる清沢の論考を、仏教用語に関する知識がなくても理解を可能にした現代語訳。付「原文」「解説」。
目次
宗教
無限
有限・無限
根本の矛盾
有限の外に無限がある
自力と他力の二門
(有限は無我である)
因縁所生
自覚の統一
開発(活動)〔ほか〕
著者等紹介
清沢満之[キヨザワマンシ]
1863年生まれ。明治時代の仏教哲学者・思想家、真宗大谷派の僧。尾張藩士の子として生まれたが、のち西方寺に入寺、清沢姓となる。東京大学大学院にて宗教哲学を専攻。1896年東本願寺で教学刷新と宗門改革を主唱したが、一時宗門より除名処分された。1899年真宗大学の初代学監に就任、宗門における人材の養成にあたった。一方、東京に私塾浩々洞を設立し、暁鳥敏らと雑誌『精神界』を創刊、精神主義運動を提唱して革新的な信仰運動を展開した。1902年自坊に帰ったが、孤独のうちにも、より高次の信仰を形成し、西田幾多郎などもその影響を受けた。1903年没
藤田正勝[フジタマサカツ]
1949年生まれ。京都大学大学院文学研究科、ドイツ・ボーフム大学ドクターコース修了。哲学専攻。現在、京都大学大学院文学研究科教授
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感想・レビュー
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ひらぱー
1
哲学って、間違った前提や、歪んだ論理でずんずん話を進めようとするから、気持ちわるい。2008/12/11
Kodo Tenco
0
「私も頑張るから、あなたも頑張ろう」というような姿勢が日本でははびこりがちであるものの、そもそも頑張っているという自力的意識があるうちは他力への甘えがある。真の他力へのエントランスは、まず己に飽きることである。非有界性すなわち一切の線引きの拒絶と云えばよいか。精神的な領域に訊こえるかもしれない。しかし心というより身がさきに物事を有界化してしまうケースのほうが多い。弊社の社是は鈴木大拙の師であった暁烏敏の『無限他力』からとっているけれども、彼でさえも姓名判断から視れば、自力臭くて線引きしたくなる(笑)。2017/06/17
masanari
0
浄土真宗の言説の正当性を、安易に経典や先人の言葉を持ち出して主張したりせずに、論理的に体系立てて証明しようと試みた野心作。だが厳密さにこだわるゆえにに文章は清沢の他の著作より難解で遊びや躍動もなく読むのに時間がかかった。いままで清沢が評価されている点がよくわからなかったが、無神論者や唯物論者そして浄土系以外の仏教徒の考えを一蹴せずに対話をしようとする姿が読み取れた。2019/12/11
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