内容説明
歎異抄13条の一節である。釈迦をも殺そうとした少年アングリマーラを通して、親鸞は人間存在の基底を業縁と見極めた。その宿業観へ至る思索に多大な影響を与えたこの伝承は、漢訳経典や仏伝図像、そして九条武子、柳原白蓮にまで及ぶ。様々な角度からせまる画期的論文集。
目次
第1章 アングリマーラ伝承の内陸アジア・東アジアへの広がり(「ひと千人ころしてんや」(『歎異抄』十三条)、そのはるかなる彼方―親鸞が意識した漢訳経典とは
アングリマーラの漢訳語について―指鬘と鬘、華鬘との相関
アングリマーラ伝承を描く仏伝レリーフと壁画、漢訳経典―ガンダーラのレリーフとクチャ石窟群の壁画を中心とする図像の解析)
第2章 漢字仏教文化圏におけるアングリマーラ伝承の展開(鳩摩羅什から央掘魔羅へ;『歎異抄』十三条の「宿業」と「業縁」の相関―親鸞思想における「宿業」について)
第3章 近代日本におけるアングリマーラ伝承(九条武子と柳原白蓮の指鬘外道(アングリマーラ)―相違する二人の苦悩とその諸相、武子・白蓮論をかねて)
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