内容説明
本書は、密教図像と儀軌の諸問題を解明しようとするものである。礼拝対象を個別に考察することにより、造形の発想の基盤である図像と儀軌の相互関係、あるいは変化のようすをとらえる。考察の眼目は、密教画としての曼荼羅も含めた多彩な絵画類(法具)を研究対象とする。
目次
密教の絵画・彫刻・図像
「蘇悉地儀軌契印図」の考察―東寺観智院蔵本と石山寺蔵本
蘇悉地儀軌の系統について―訳図における東寺本と供養法の図像学的比較研究
石山寺蔵「蘇悉地手契図」―火焔の着想と背後にある問題
虚空蔵求聞持法画像と儀軌の東国進出
心覚と『別尊雑記』―伝記および図像「私加之」の諸問題
『別尊雑記』の図像学的背景―両界と不動明王曼荼羅観の描写
心覚の「応保二年卯月記」と師説
白描下絵伊勢物語梵字経の梵字―光明真言の分析とその解読
空海請来梵字法身偈と摩尼宝珠曼荼羅〔ほか〕