出版社内容情報
多くの著名人が推奨し、日本で最もよく読まれているという仏教書『歎異抄』。
「善人なほもて往生をとぐ。いはんや悪人をや」という有名な「悪人正機」の一文が記された『歎異抄』は、親鸞直弟子の唯円が、師の親鸞から直接聞いた言葉を、親鸞没後に記したものである、というのが現在の常識である。
この常識は正しいのか。
どの宗教にも開祖の言葉を集めたとされる聖典があるように、浄土真宗にもそうしたものがいくつも存在する。だが『歎異抄』以外のそうした書物は、現代に至るまでにどれも本当に親鸞の言葉なのかどうかが疑われ、否定的に扱われてきた。親鸞の言説の集成とされる諸本がどれも厚遇されていない中で、『歎異抄』は特異な地位を占める。なぜそのような事態となったのか。まずは『歎異抄』が親鸞の言葉を記録しているという前提を離れて、その成立事情に迫ってみたい。
【目次】
1 『歎異抄』という親鸞伝
2 法然系諸流の中で
3 『歎異抄』の文体
4 穢土に顕現する如来
5 生き如来信仰の変質
6 中世親鸞門流の「聖教」
7 親鸞の秘伝を記す書物群の成立
8 近世的学問・教育の進展
9 「正義」樹立への道程
10 知識人にとっての『歎異抄』
11 虚実皮膜の祖師信仰
【目次】
凡例
本願寺歴代住職
1 『歎異抄』という親鸞伝
親鸞資料としての『歎異抄』の特殊性
『口伝鈔』と『歎異抄』の書承関係
『歎異抄』から『口伝鈔』か、『口伝鈔』から『歎異抄』か
覚如著作群の利用
「唯円」と覚如伝
行状型と言説型
法然伝の場合
親鸞伝という教義書
2 法然系諸流の中で
『唯信鈔』と『唯信鈔文意』
親鸞の書簡集
親鸞のみが知る言葉
誓願と名号の関係
覚如制作の法然伝
学問の価値
流罪記録
3 『歎異抄』の文体
漢字リテラシーと教義理解
親鸞の理念と実践
覚如・存覚の教義書新作
スローガンのような言葉
拝聴・拝見・諷誦
固有名詞による自称
4 穢土に顕現する如来
生き如来信仰
夢の善導
本地と垂迹
親鸞没後の生き如来たち
初期真宗の制禁
一遍伝・他阿真教伝
浄土宗各派の祖師伝
人民たるわれら
口称念仏すら難しい人々
5 生き如来信仰の変質
肖像画を礼拝する
本尊の多様性
生き如来の絞り込み
如来と親鸞の役割分担
拝まれる蓮如
危機に顕れる如来
善知識から御門主へ
本願寺住職は仏の血筋
芝居小屋の生き如来たち
6 中世親鸞門流の「聖教」
教義書の秘匿
本願寺の財産
存覚『浄典目録』
実悟『聖教目録聞書』
雑纂・羅列の聖教目録
蓮如のしらばくれ
7 親鸞の秘伝を記す書物群の成立
『浄土法門見聞集』
『因果鈔』
『心血脈鈔』
『親鸞聖人御因縁秘伝鈔』
聞書型・物語型の教義書
如信の登場
「本願寺歴代」の認識
「親鸞の秘伝」はいつ生まれたか
地方人の学問希求
蓮如前夜の本願寺
『口伝鈔』と『歎異抄』
8 近世的学問・教育の進展
東西両本願寺派・高田派
仏光寺派
興正派
木辺派・三門徒諸派
独自教学の不在
浄土宗・時宗の学問所
学問所と「御伝授の家」
真宗教義書の出版
「正しい教義書」の確定
学問の広がり
9 「正義」樹立への道程
「御伝授の家」の聖教目録
内容説明
いつ、誰が、何のために。「『歎異抄』には親鸞の言葉が記されている」という常識は正しいのか。常識を離れたときに見えてくる『歎異抄』成立の真相に迫る。
目次
1 『歎異抄』という親鸞伝
2 法然系諸流の中で
3 『歎異抄』の文体
4 穢土に顕現する如来
5 生き如来信仰の変質
6 中世親鸞門流の「聖教」
7 親鸞の秘伝を記す書物群の成立
8 近世的学問・教育の進展
9 「正義」樹立への道程
10 知識人にとっての『歎異抄』
11 虚実皮膜の祖師信仰
著者等紹介
塩谷菊美[エンヤキクミ]
1957年、神奈川県に生まれる。1979年、早稲田大学第一文学部卒業後、神奈川県立高校国語科教諭として40年間勤務。1997年、和光大学人文学部文学科専攻科修了。2003年、早稲田大学にて学位取得 博士(文学)。現在、同朋大学仏教文化研究所客員所員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



