内容説明
「社会」や「大衆」が次第に見いだされていく時代状況のなか、仏教は独自の倫理観に基づく社会福祉事業を通して、いかに「公共空間」の形成にコミットしたのか―。国家への「迎合」や「国家主義的」な歴史として捉えられてきた仏教社会福祉史を、「公共宗教」の視点から批判的に捉え返すとともに、「社会参加」「社会貢献」という文脈からは決して読み解くことのできない仏教社会福祉活動の意義を改めて追究。社会福祉史・近代仏教史・宗教社会学の領域をリンクさせ、新視点を提示する!
目次
序章 近代日本の福祉をめぐる公共空間と仏教
第1部 子どもをめぐる社会福祉活動と宗教(瓜生イワの慈善事業と「福祉思想」―「人間性の尊重」と仏教倫理;明治期における仏教倫理の展開と仏教社会福祉活動―福田会育児院の養護実践と女性の関与;明治期のキリスト教的社会福祉活動の公共的機能―石井十次の岡山孤児院、留岡幸助の監獄改良と家庭学校 ほか)
第2部 セツルメントの発展と浄土宗社会派による仏教社会福祉活動(渡辺海旭による仏教社会事業の公共的機能―ドイツ型セツルメントと共済思想;長谷川良信のセツルメントにおける教育的側面と社会倫理―大正期における「感恩愛人」の思想と実践)
結章 近代日本における仏教と福祉
著者等紹介
井川裕覚[イカワユウガク]
1985年奈良県生まれ。大阪市立大学経済学部卒業、2021年上智大学大学院実践宗教学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専門は宗教社会学・仏教社会福祉史・死生学・臨床スピリチュアルケア。現在、上智大学大学院実践宗教学研究科特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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