内容説明
政府・電力会社・経済界・学界・マスコミの対応の問題点はなにか、原子力の安全規制制度改革の問題点はなにか、社会科学の目を通じた徹底検証により安全な未来への方向を提示。
目次
第1章 日本社会と東日本大震災と福島原発事故(2011年3月11日を記録に残そう;2011年3月11日を抱きしめて ほか)
第2章 福島原発事故と安全規制機関の能力(福島原発事故の検証;東電「全員撤退」発言問題と今後の原子力安全規制 ほか)
第3章 日本の原子力安全規制の展開と今後のあり方(制度論アプローチからみた原子力安全規制制度の改革;原子力開発の出発点 ほか)
第4章 福島原発事故と日本社会のこれから(東日本大震災と福島原発事故から1年余;福島原発事故の教訓からこそ見えてくる今後の日本社会のあり方)
師岡愼一教授との対談―社会科学者と原子力工学者の視点で考える福島原発事故と今後の大学のあり方
著者等紹介
松岡俊二[マツオカシュンジ]
1957年、兵庫県生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。早稲田大学グローバル・サステイナビリティ研究所・所長。早稲田大学キャンパス・アジアEAUIプログラム・ゼネラルマネージャー。1988年、京都大学大学院経済学研究科学修認定退学。1998年、広島大学博士(学術)。広島大学大学院国際協力研究科教授を経て、2007年より現職。専門分野は環境経済・政策学、国際開発援助論、政策評価論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
305
2011年3月12日(いうまでもなく大震災の翌日だ)、テレビの映像を見ていた私たちは大きな衝撃を受けた。あろうことか、フクシマ原発1号機の原子炉建屋が水素爆発で吹き飛んだのだから。その後、2号機以下4号機までも制御不能に陥ったのである。その後、私たちはさらなる衝撃(笑劇)に向き合うことになる。すなわち、原子力安全・保安院も原子力安全委員会も、共に全く頼りにならない存在であることに気づかされたからである。さらにその後にSPEEDIが全く活用されなかったことも知る。本書の検証と警鐘をすべての人に。2018/02/25
syota
27
あれからもう7年だ。3月11日夜の段階で原子力安全・保安院は、原子炉の炉心溶融を予測し首相に報告していたそうだ。私は「これは水素爆発で直ちにどうこう」という政府の発表を鵜呑みにし、大量の放射性物質が撒き散らされたときも戸外で作業していた。SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測シムテム)が実はそれなりに機能していたのに、国はそのデータを放置し(逆に米軍はこれに着目し、外務省経由でデータを入手していた)、多くの住民がいたずらに被爆させられたと知ったときの、声も出ないほどの悔しさと怒りが再び蘇った。(続く)2018/04/02