内容説明
中国の禅を知ろうとすれば、多くの伝灯録や語録を読まねばならぬが、それらはみな特殊な文献である。伝灯録は、禅の歴史の書であるが、必ずしも、歴史的事実のみを述べていないし、語録は、他の仏教諸宗の宗典や祖釈と、全く性質を異にしている。而も俗語や一見荒唐な説話に満ちている。従って、禅の史実や思想を問題にする前に、どうしても、語録の文献研究や、伝灯録の成り立ちを知らねばならぬ。資料そのものの価値批判を必要とする。其等の用意を怠った上層だけの研究は、ひっきょうは思いつきの論に過ぎぬ。特に、考古学や民俗学の資料に恵まれぬ現在の研究段階では、先ず、文献資料そのものを、正しく整理しておく必要があると思われる。本稿は、右のような意図の下に、初期の伝灯録関係資料の性質と、その成立の歴史的意味について考えようとしたものである。
目次
第1章 問題の所在
第2章 北宗に於ける灯史の成立
第3章 南宗の擡頭
第4章 祖師禅に於ける灯史の発展
第5章 『宝林伝』の成立と祖師禅の完成
第6章 余論
附録 資料の校注
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