内容説明
江戸中期の儒学者・荻生徂徠(1666‐1728)の思想は難解といわれるが、その「ことば」は広く開かれている。徂徠は人/もの/世界を「活物」として看ることを説き、その思索は学者世間の外にまで届くものであった。徂徠の「ことば」の魅力を探り、徂徠学の構想・方法・世界認識を明快に論じた本格的入門書。
目次
第1章 「物」に拠る教え
第2章 「名」と「物」と「俗」と
第3章 「古言」から見通す「先王の道」
第4章 経書注釈と思想史の視点
第5章 『政談』の世界
第6章 「華夷変態」のなかの徂徠学
第7章 「気質の性」の行方―太宰春台論
第8章 反徂徠学、懐徳堂の儒学
第9章 「風俗」論への視角
著者等紹介
中村春作[ナカムラシュンサク]
1953年、徳島県生まれ。広島大学文学部卒業。大阪大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。博士(文学)(大阪大学)。広島大学名誉教授。専攻は思想史(日本・東アジア)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんがく
11
丸山真男の論考でもお馴染みの江戸時代の思想家、荻生徂徠。朱子学を批判し、古典研究を重視したという教科書的説明しか知らなかったが、具体的なテキストの引用が多く、ライバルの伊藤仁斎や弟子の太宰春台との比較もわかりやすく、徂徠学の理解が深まった。人の心の中でなく、歴史、政治などの現実社会を重視する。2020/02/16
tkm66
0
この著者による〈江戸期思想史〉は以前の著作も下手に媚びず・かつ専門知を門外漢にも分かり易く解説され、大変勉強になる。こういう方を〈先生〉と言うのだろう。もちろんかなり気合を入れて読む覚悟は必要。2019/09/04