出版社内容情報
戦前・戦中の困難な政治状況と向き合い独自の歴史学を打ち立てた藤間生大(1913-)。その「希望の歴史学」に新たな光を当てる。戦前・戦中の困難な政治状況と向き合いながら独自の歴史学を打ち立てた藤間生大(1913-)。1950年代には民族論を牽引して学会に激しい論争を引き起こし、また70年代には一国史的視座を越えた「東アジア世界論」を構想。これは90年代以降に一般化した「グローバルヒストリー」の潮流を先取りしたものであった。「暗い時代」を生き抜いた藤間の「希望の歴史学」に今、新たな光を当てる。
編者まえがき――解題 今なぜ藤間生大なのか―― (山本昭宏・磯前順一)
はじめに――終末にひそむ希望――
第一部 インタビュー
日本史・東アジア史・世界史について語る――藤間生大先生の歴史研究の歩み――
第二部 論攷
敗北から学ぶ
○研究と実践――傷ついた心の人のために――
○二つの敗北期
「国家と民族」論
○古代における民族の問題
○五〇年の歳月を経て――石母田正『歴史と民族の発見』解説――
東アジアの終末論
○前近代東アジア史研究の方法論についての一考察――一九七九年度歴研大会総合部会の鬼頭報告に関連して
○古代東アジアの終末感(観)――発端としての中国を主なる例として――
○旧谷中村の石仏
「おわりに」に代えて――石母田正氏告別式弔辞
藤間生大著作文献目録(水野公寿編・磯前礼子補訂)
解説 希望の歴史学――藤間生大とマルクス主義歴史学――(磯前順一・山本昭宏)
編者あとがき
藤間 生大[トウマ セイタ]
著・文・その他
磯前 順一[イソマエ ジュンイチ]
編集
山本 昭宏[ヤマモト アキヒロ]
編集
内容説明
1930年代という「暗い時代」に、盟友石母田正らとともに研究活動を開始した歴史家・藤間生大(1913~)―1950年代の英雄時代論で一世を風靡した後、マルクス主義歴史学の衰退とともに不遇にあえぎながらも、つねに戦後歴史学に希望を求めて邁進してきた不屈の歴史家の、「ナショナリズムなき民族主義」の可能性に挑み、一国史的な視座を超えるため上部構造に“宗教”を接合して「東アジア世界論」を構想した思考の軌跡を集成し、未来へとつながる終末論を一望に収める。
目次
第1部 インタビュー 日本史・東アジア史・世界史について語る―藤間生大先生の歴史研究の歩み
第2部 論攷(敗北から学ぶ;「国家と民族」論;東アジアの終末論)
著者等紹介
藤間生大[トウマセイタ]
1913年5月広島市生まれ。1936年早稲田大学文学部史学科卒業。冨山房、日本評論社等勤務の後、1945年埼玉県立浦和中学校教諭(~48年)。民主主義科学者協会事務局常任書記長等を経て、研究活動に従事。1971年熊本商科大学経済学部教授に就任。同大学付属海外事情研究所長を経て、1982年退職。その後、研究・執筆活動に専念し、現在に至る。専攻:歴史学(考古学・日本古代史研究)
磯前順一[イソマエジュンイチ]
1961年茨城県生まれ。国際日本文化研究センター教授。宗教・歴史研究
山本昭宏[ヤマモトアキヒロ]
1984年奈良県生まれ。神戸市外国語大学准教授。日本近現代史・文化学研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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