内容説明
上田秋成は大坂・京都の芸苑の生きた畸人であり、石川雅望は江戸町人として都市社会に通じた畸人であった。本書は、両作者の読本世界を通じ、日本近世の精神をあらためて捉えなおそうとした異色の文学研究。
目次
1 上田秋成(典拠とテキスト―『雨月物語』の表現;命禄と孤児―『春雨物語』の主題;「宮木が塚」の構造―遊女と法然;聖宝理源大師説話―「御嶽さうじ」とミロク;岡崎俊平覚書―『百千鳥』と『胆大小心録』;うれたき論争―『呵刈葭』〈下篇〉論争について)
2 石川雅望(『飛弾匠物語』論―機関と正義;『近江県物語』論―もうひとつの梅若物;『天羽衣』論―綾足・秋成・雅望;蔦屋重三郎覚書―江戸っ子と本屋;公事宿嫌疑一件―寛政三年の石川雅望;『都のてぶり』考―江戸の群衆;江戸橋広小路の狂歌―都市の広場)