内容説明
北朝鮮の非核化が暗礁に乗り上げ、朝鮮半島情勢は不透明感を増している。制裁、コロナ、災害の「三重苦」が指摘される中、自力更生の路線を打ち出した北朝鮮経済はどこまで持ちこたえられるのか。本書は外側からは見えにくい北朝鮮経済の実態について、経済政策、貿易、財政、金融、商品、デジタル化、インフラ、食糧、コロナ対策、観光など多角的に分析している。
目次
矛盾抱えた「金正恩経済学」の10年―改革開放と安保・体制維持のジレンマ
停滞する北朝鮮の経済改革―市場経済化を阻む「党の支配」
北朝鮮の財政・金融・外貨問題―「自力更生」のもう1つの側面
北朝鮮の新型コロナ対策と軍事、経済
金正恩政権の観光政策―コロナ禍における観光地区開発
多様化する北朝鮮の商品経済―新富裕層が支え、資材調達がカギ
独自の発展を遂げる北朝鮮のデジタル経済―人材育成に注力、統治・軍事の手段にも
北朝鮮の地方経済の光と影―進まぬ特区開発、国は農業に力点
進まぬ南北経済交流―非核化めぐる政治のハードル
2020年の韓国における対北朝鮮認識
制裁で立ち消えた中国との経済交流
停滞する朝鮮半島インフラプロジェクト―ロシアの視点から
SDGs実現に向けた北朝鮮の取り組み―実態と今後の展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紙狸
10
【北朝鮮とSDGs】2021年5月刊行。北朝鮮研究者たちが執筆し、日本経済研究センターが編んだ。最後におかれた章は「SDGs実現に向けた北朝鮮の取り組み」(筆者は東北亜未来構想研究所長・李鋼哲)。北朝鮮の閣僚は16年、SDGsについて国際会議で、評価、支持を表明していたという。意表をつかれ、SDGsというのは北朝鮮にとって都合がいい目標なのか、と考えさせられた。2021/06/18
スプリント
4
これだけ長期渡る経済制裁があっても国が存続することが不思議。 とてつもない格差社会だと思うがどこまで続くのだろうか。2023/11/30
麦茶
1
中朝・中ロ関係から地方都市の経済状況まで一通り冷戦崩壊後の北朝鮮を俯瞰するのに適した概略書であった あえてまとめるのならば北朝鮮という国が「自給自足」に縛られて外資の導入に次々と失敗しながらも旧社会主義国家特有の公共サービスの充実と政権の安定性が活きてるというのがこの本の指し示すところであろうか2023/07/25