内容説明
時代の制約の中で苦闘しながらも、鉄鋼業の近代化・成長に精魂を傾けた川崎製鉄(現JFEスチール)の伝説的経営者、西山弥太郎。戦後日本鉄鋼業のイノベーターと称される革新的企業家の鉄に生きた人生の物語。その生涯と戦略的経営の実際をさまざまな資料と当事者の回顧談から読み解く。川鉄OBの経営史家による西山弥太郎評伝の決定版!
目次
第1章 若き日の西山弥太郎
第2章 製鉄部門のリーダーへの道を歩む
第3章 戦後労働争議の嵐の中で
第4章 製鉄部門の分離・独立
第5章 銑鋼一貫製鉄所建設という決断
第6章 西山「天皇」に立ちはだかった資金問題
第7章 千葉製鉄所の建設、本格的銑鋼一貫体制への拡充
第8章 国境を越える資金調達―世銀借款
第9章 第二製鉄所、水島製鉄所の建設
第10章 「天皇」、黄昏時を迎えて
著者等紹介
濱田信夫[ハマダノブオ]
1970年、神戸大学経営学部卒業後、川崎製鉄(株)入社。2004年、法政大学大学院社会科学研究科経営学専攻博士後期課程修了。博士(経営学)。2004年、九州ルーテル学院大学人文学部教授。現在、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
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日鉄・日本鋼管の牙城を崩して、川崎製鉄を、銑鋼一貫メーカーに育て上げた西山弥太郎のドラマティックな評伝。西山「天皇」と、日銀の一万田「法皇」とのペンペン草論争で知られる千葉製鉄所の話は有名だが、それ以上に、操業開始した千葉第一高炉の絶不調や、千葉第二期計画における世銀借款交渉が、本当の意味での絶体絶命のピンチだったことがわかる。更に、千葉の整備途上で、早くも水島の第二製鉄所を計画するなど、西山のスケールは際限なく大きい。右肩上がりの経済情勢だからこそ成し得た、大胆な経営判断だったのだろう。2019/12/12