内容説明
文明の相克の中、馬と歩んだ日本人の心性の軌跡!日本人は中華文明や西欧文明の強大な影響を柔らかかつ強靱な心で対処しながら独自の文化を築いてきた。古墳時代早期に列島にもたらされた馬はその影響力の強さで舶来文物を代表するものの一つであり、馬に示された受容のあり方は日本人のユニークな心性を浮き彫りにしている。東アジアにおける日本のアイデンティティを見据える好著!
目次
第1章 東夷の国家形成と騎馬文化(騎馬文化の成立と初期的伝来;倭王権と装飾馬具文化;半島南部の覇権をめぐる争い;大唐帝国の脅威と東夷の国家建設)
第2章 馬を制すものが天下を制す(平安王朝と馬の貢進儀礼;律令の乱れと兵の台頭;武士政権への道;徳川治世下の成長と限界)
第3章 植民地支配を進める列強と東アジアの苦悩(開国をめぐる混乱と騒擾;朝鮮半島の覇権をめぐる攻防と新馬政;世界を巻き込む戦争と人馬の消尽;高度経済成長とヴァナキュラーの喪失)
著者等紹介
久慈勝男[クジカツオ]
1944年岩手県に生まれる。1967年早稲田大学第一政治経済学部を卒業。(株)日本リサーチセンターに入社し、住民運動などの社会的紛争研究、社会思潮・価値観研究などに従事。同社常務取締役研究所長、KUJISENSES(株)代表取締役、流通経済大学および名古屋商科大学の非常勤講師、雲南大学客員教授、政府関連機関委員、一般公益法人副会長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆきまさくん
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この本は、日本における馬の騎馬など道具や乗り物としての役割や、馬とどのように関わってきたかについて描かれている。なかなか読みごたえのある力作、労作。 職を持ちながら、圧巻ともいうべき郷土史や文化史を研究された筆者に敬意を表する。2017/02/14
サンチェス
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太古の昔より常識だった馬の去勢を、日本人はなぜ頑なに拒んだのか?現代日本人が忘れている、馬への信仰に近い愛着の理由に迫る。以下概要。古墳時代、馬は権威の象徴で、金ピカに飾られた馬の所有はステータスだった。中世にもその片鱗は残っていて、馬は板張りの家屋で飼われ来客がまず目にするものだったという。馬は運搬力でも人間に重宝された。しかし、西洋と違って乗らずに曳くために育った馬は、近代になって乗馬に支障をきたすようになった。また、20世紀初頭にようやく去勢が導入されたが、その成果は現れることなく終戦した。2017/01/05
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