内容説明
徳川斉昭が藩政改革の一環として建設した弘道館。「弘道館記」に高く掲げた建学精神はどこまで達成できたのか。幕末から維新へ、政争の波に揉まれ続けた30年余の教育活動を、そこに学ぶ諸生の姿を軸に生き生きと描く。
目次
1 開館前の教育活動
2 徳川斉昭の藩政改革と学館建設
3 仮開館と組織・制度
4 文武兼修の実情
5 弘化・嘉永期の状況
6 本開館と諸規則の制定
7 諸生の分裂と学館の動揺
8 天狗党の乱と諸生の動向
9 維新・藩末期の学館
著者等紹介
鈴木映一[スズキエイイチ]
1939年茨城県生まれ。1963年東京大学大学院人文科学研究科国史学専門課程修士課程修了。現在、茨城大学教育学部教授。茨城大学五浦美術文化研究所所員(前所長)。文学博士
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感想・レビュー
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きさらぎ
3
弘道館開校への斉昭公の執念を感じる(笑)東湖や正志斎ら関わる学館設立の経緯や、組織や課程などが書き出されており、水戸弘道館の概要を知ることが出来る。水戸の場合、弘道館という学びの場が、幕末の混沌とした政情の影響をモロに受けてしまうので、弘道館の歴史であると同時に幕末水戸の歴史記述にもなる。激派・鎮派、そして天狗党他、小党乱立で大混乱した感があるが、江戸と地理的に近く・御三家として幕府との距離が近い。そこへ水戸学や勤皇・尊攘だのが絡めば混乱は必至だったかもしれない。天狗党と慶喜の記述は読んでいて辛い。2017/06/06