目次
巻頭論文(J・A・シーザー『J・A・シーザー黙示録』レヴュー;水木しげると寺山修司)
俳句(修司祭)
エッセイ(魂の語り、魂の声、魂の叫び―昭和精吾さんに捧ぐ;イケブクロウィーク&ウォーク2)
研究論文(歌人・寺山修司の“隣人”上―「マッチ擦る‐」一首の変遷と意味;歌人・寺山修司の“隣人”下―疎外された者への想像力 ほか)
書評・イベント・劇評・追悼(清水義和・赤塚麻里・清水杏奴著『メディアと芸術』(文化書房博文社、二〇一五)
田中未知編 寺山修司未発表詩集『秋たちぬ』(岩波書店、二〇一四) ほか)
感想・レビュー
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田中峰和
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生誕80年、没後30年以上経つのに、寺山修司の業績は色あせない。父を戦病死で亡くした寺山はデビュー作の短歌研究で、「父還せ」を書き、戦争で亡くなった父を偲ぶ思いを伝えた。紙芝居→貸本劇画→ガロの流れを歩んだ水木しげるは、ゲゲゲの鬼太郎こと墓場鬼太郎で有名だが、寺山は天井桟敷で「花札伝綺」を上演し墓場鬼太郎を登場させる。水木は寺山の晩年、作品に寺山を登場させるほど両者に交流があった。戦中、虚無主義になった水木は寺山の書いたニヒルなユーモアと重なる。水木は寺山にとって戦争で死ななかったもう一人の父だった。2016/09/12