内容説明
本書に共通する関心は、中国社会を動態的にとらえるという観点である。中国社会が現実に変動する過程にあるというだけではなく、変動を我々の目のまえにさらけ出すことによって、社会が変動するダイナミズムを構想するイマジネーションを引き出してくれている。本書に収められた7編の論攷は、それぞれの領域からダイナミズムを解釈する理論的枠組みを提示するよう試みている。そして7人の論者に共通する論点として、現代中国社会の変容には、伝統的な秩序構造、あるいは革命後50年間に構造化された論理が深く刻み込まれているばかりでなく、変革が伝統的な構造に依存するというパラドックスをもつよめる傾向を指摘することである。
目次
第1章 中国社会研究と日本社会学
第2章 中国社会の変動と社会構造化
第3章 中国家族の構造変容
第4章 生活保障の社会的装置と公共性
第5章 格差・階層・階級―社会主義と平等主義的イデオロギーの行方
第6章 都市と農村の関連構造、地方都市の変化
第7章 比較の視点からみた中国