感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mana
5
キャサリン・マンスフィールドの最初の短編集。バイエルン滞在の経験が基になっているらしく、いくつかの話には自身を思わせる若い女性「私」が出てくる。収録されている作品はべつに悪くはないのだけれど、後の作品と比べるとまだ未熟な感じがする。チクリとした棘が丹念に隠されているのがマンスフィールドの魅力だとすると、この短編集ではまだ棘が表面に出てる。イギリス人を馬鹿にするドイツ人を意地悪く見ている視線もちょっとあからさまで、あとがきによればマンスフィールドが一度絶版になったあと再販に応じなかったのはそれもあるとか。2017/05/09
きりぱい
2
ドイツの宿で過ごすイギリス人女性のスケッチのような物語。イギリス人を馬鹿にしたような会話や、安眠のために頼んだミルクに特別料金を請求されて余計眠れなくなったとカッカする男、キスを迫られて「鼻カタルなの・・」(鼻カタルて!なんかイメージが)と断る婦人など、スノッブの集まりを冷めた目で描いたような小品は、意外だったり、辛辣だったり、皮肉だったりと、面白くない事もないけれど、面白いとも言い難い作品だった。2009/08/01
ワッピー
1
ドイツのリゾート宿の社交界?のカッタルイ日々。著者はこの本の再版を認めたがらなかったそうだが、イギリスを下に見るドイツ・スノッブの野暮ったさの描写は主眼ではなかったのかな?チェホフの影響を受けたということだが、確かに「疲れ切ったねえや」は模写。2010/09/23