内容説明
食糧資源である海の魚を、長く安定的に利用していこうという発想のもと、現在では国際的な水産資源管理が行われている。一方で、魚は野生生物であり、生物多様性の観点から保全する必要があるという考え方もある。資源としての利用と、生物としての保全と、どのように折り合いをつけるのか?野生生物の商取引を規制する「ワシントン条約」のしくみや国際会議での議論を紹介する。
目次
第1章 ワシントン条約(CITES)とは
第2章 ワシントン条約とクロマグロ掲載問題
第3章 陸生動物の保全とワシントン条約
第4章 保全生態学の考え方
第5章 水産資源管理の考え方
第6章 生態系管理の考え方
第7章 環境保護団体とワシントン条約
ケーススタディ
著者等紹介
中野秀樹[ナカノヒデキ]
国立研究開発法人水産総合研究センター国際水産資源研究所
高橋紀夫[タカハシノリオ]
国立研究開発法人水産総合研究センター国際水産資源研究所(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サメ社会学者Ricky
2
国際商取引を完全に禁止するのではなく、規制のもとで取引させることで保護がうまくいく場合もある。短期的な経済的利益のみを優先させて種の存続を危険に晒すことはできないが、神聖視して一切の利用も許さない姿勢も考えものだろう。2020/04/08
サメ社会学者Ricky
1
ワシントン条約の内容や掲載基準、問題点などをわかりやすく記載した本。保護するためにただ取引を規制するだけではなく、持続可能な利用を視野に入れないと結果的に資源を守れないケースなども紹介されている。日本の著者が水産資源について書いたこともあってかだいぶ保全寄りな印象を受けたので、保護派が同じ問題をどのような論点から論じるのかも興味がある。2020/01/01