内容説明
マイタケ、ナラタケなどのおいしい野生きのこはブナ林のめぐみ。秋になると、これらの菌類に注目が集まります。この時期以外は忘れられがちな菌類ですが、実はかれらは、森や林の生態系のなかでさまざまな重要な役割を果たしながら生活しています。菌類は、顕微鏡を使わなければ見ることもできないほどの微細な生物です。しかし、かれらの存在がなければ、樹高数十メートルにおよぶ森の高木も、健全に生育することはできないでしょう。「森」という環境さえ、存在しなかったかもしれないのです。森林の中で菌類が果たしている役割を通して、生きものどうしのつながりによってつくられる「森」の姿を紹介します。
目次
第1章 ブナの一生と寄生菌類(ブナ林というところ;菌類とよばれるなかまたち;ブナの一生と寄生菌類 ほか)
第2章 ブナ林の共生菌とその役割(内生菌;マツの針葉の内生菌の特徴;ブナの内生菌を調べる ほか)
第3章 生物どうしの関係が保つ安定性(病気は困りものか;昆虫病原菌;ブナアオシャチホコをめぐる生きものたち ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃんさん
1
ブナと菌類の関係だけではなく、有名な菌と樹木の関係との比較などがされていて、勉強になった。また、菌類と昆虫や鳥類の関係も書かれていて、生態系という大きな枠を捉えやすかった。菌類とそれに関係するものに凄く興味を持った。2013/01/14
くらーく
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自然はうまく出来ているねえ。本当に不思議な世界。分からない事がいっぱいだわ。2015/07/17
かっちゃん
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情報が古いのは仕方ない。病原菌と共生菌と寄生菌+αで内容が3等分されている感じだったので、もう少し菌根菌の話が載っていれば個人的にはうれしかった。2015/02/21
ISBN vs ASIN vs OPAC
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天然の森林だの、自然の調和だの、健全な青少年の育成並に胡散臭えこと言いやがると叫びたくなる前半に比べて菌根菌辺りからぐぐっと引き込まれ、ブナアオシャチホコとサナギタケのくだりになってからはもう絶頂。菌類のわけのわからなさの一端をかいま見れる。ただ森林生態学よりなのでブナへの信仰じみた執着がお前それ原動力かもしれないけど公言すべきじゃないよねっていうか科学者のとっていい態度じゃないよねと気持悪くもあるが……なんなんだろこれ。2014/10/18