内容説明
マイタケ、ナラタケなどのおいしい野生きのこはブナ林のめぐみ。秋になると、これらの菌類に注目が集まります。この時期以外は忘れられがちな菌類ですが、実はかれらは、森や林の生態系のなかでさまざまな重要な役割を果たしながら生活しています。菌類は、顕微鏡を使わなければ見ることもできないほどの微細な生物です。しかし、かれらの存在がなければ、樹高数十メートルにおよぶ森の高木も、健全に生育することはできないでしょう。「森」という環境さえ、存在しなかったかもしれないのです。森林の中で菌類が果たしている役割を通して、生きものどうしのつながりによってつくられる「森」の姿を紹介します。
目次
第1章 ブナの一生と寄生菌類(ブナ林というところ;菌類とよばれるなかまたち;ブナの一生と寄生菌類 ほか)
第2章 ブナ林の共生菌とその役割(内生菌;マツの針葉の内生菌の特徴;ブナの内生菌を調べる ほか)
第3章 生物どうしの関係が保つ安定性(病気は困りものか;昆虫病原菌;ブナアオシャチホコをめぐる生きものたち ほか)