内容説明
昭和天皇の侍従武官長として知られる陸軍大将奈良武次の生涯を描いた初めての評伝。『昭和天皇実録』の公開で、奈良武次の存在感に注目。
目次
第1章 青年将校時代
第2章 日露戦争時代
第3章 第一次世界大戦と日本
第4章 対中外交刷新とシベリア出兵問題
第5章 奈良、宮中に入る
第6章 昭和の始まり
第7章 国際協調時代
第8章 満州事変と宮中
第9章 武官長退任後
著者等紹介
波多野勝[ハタノマサル]
1953年岐阜県生まれ。慶応義塾大学法学部卒、同大学院修了、法学博士。日本外交史、国際政治専攻、現代史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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奈良武次とは頭の固いコチコチの陸軍人だと思っていた。阿川弘之の随筆で、東郷元帥に「そこの司令官」と声をかけた水兵を見て仰天した奈良将軍の挿話が出てくる。また中公新書の「昭和天皇」では、統帥権を根拠に満州からの撤兵を要求する天皇を「統帥権は作戦の詳細まで指示するものではない」と諫める話がある。しかしこの本では国際感覚に長け、温厚で理知的な軍人が皇室の政治利用を避けようと必死に腐心していた姿がうかがえる。そして日本政府が軍隊を統御出来なくなっていった過程を追う物語でもある。2018/02/20