内容説明
民俗学者折口信夫が提唱した“マレビト”概念をもとに琉球各地に残る仮面・仮装芸能を映像民俗学の手法で調査。日本人の心象における来訪神・異人伝説の原型を探求する。
目次
第1章 琉球弧のマレビト芸能への眼差し―来訪する神々の姿かたちを求めて(プロローグ―小浜島でのインスピレーション;マレビト芸能「ダートゥーダ」の甦り―来訪神が顕現する原風景)
第2章 琉球弧の神話世界―“サルタヒコ”と“アメノウズメ”の芸態モティーフ(祭祀空間の“神話イメージ”―琉球神話と記紀神話をめぐる「マレビト」論;祭祀空間における“トリックスター”的存在―琉球弧に出現する「神遊び」空間論)
第3章 琉球弧におけるマレビトの図像―マレビトの「仮面/仮装、芸態」をめぐるイメージ論(マレビトの身体論―マレビト芸能の仮面/仮装、杖、団扇;マレビトの神話的芸態―来訪神の棒踊りと修験道的所作)
第4章 マレビト芸能にまつわる熊野権現信仰―琉球弧から熊野権現へとむすぶ視線(琉球弧と熊野神話圏をむすぶ線―神々のイメージは熊野から来たのか;球琉弧と熊野神話圏をつなぐ他界観―マレビト芸能をめぐる海上信仰と山岳信仰;マレビト芸能における神々のイメージ―異形の神に対する畏怖心と鎮魂祈願)
第5章 マレビトが来訪した「海上の道」―黒潮の流れに乗ってきたマレビト芸能(琉球と熊野をつなぐ“弥勒世”の他界観―補陀洛信仰と南波照間(パイパティローマ)信仰のつらなり
琉球と熊野をむすぶ眼差し―黒潮に乗ったマレビトの神々)
著者等紹介
須藤義人[スドウヨシヒト]
1976年神奈川県横浜生まれ。2000年早稲田大学社会科学部卒業(比較基層文化論)、2007年沖縄県立芸術大学大学院博士課程単位取得退学(芸術文化学)。現在、映像民俗学者(沖縄大学人文学部こども文化学科専任講師)、映画助監督(NPO法人沖縄映像文化研究所理事)。第四回「猿田彦大神と未来の精神文化」研究助成一席(2001年)、第六回「司馬遼太郎フェローシップ」(2003年)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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