内容説明
若き日にドイツ留学をした石原莞爾。彼はそこで何を考え、何を学んだのか。ドイツに向かう船上から、そしてポツダム、ベルリンから毎日のように妻にあてて書いた膨大な手紙から浮かび上がるもう一つの石原莞爾像。
目次
石原莞爾の人間像
ドイツへの船旅(ドイツ留学と妻への手紙;妻への労りの手紙)
ドイツでの生活(『虹色のトロツキー』に描かれた石原像;宮崎正義と石原)
ベルリン(石原の故郷に残る蔵書;中国ナショナリズムに理解を示した石原;病気がちだった石原)
著者等紹介
伊藤嘉啓[イトウヨシヒロ]
昭和11年宮城県生まれ。昭和36年3月学習院大学文学部卒業。昭和38年3月学習院大学大学院人文科学研究科修了。専攻はドイツ文学、比較文学。現在、大阪府立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ikkoku-Kan Is Forever..!!
1
表題が気になって読んでみた。研究書というよりエッセイ。筆者は石原信者から距離を置いているような言いぶりで、事実、その意味を理解しているけれど、それでも、「石原は中国から、顕彰碑を建てるとまではいかないまでも、感謝状くらいはもらってもいい」p160とあるように、石原贔屓が甚だしい。しかもその後の記述や端々をみると確信犯のようですらある。そこが盲目的信者と違うところではあるが、総じて「石原好きの人間が今の日本を嘆く」的な文章。最後の「『世界最終戦論』は石原なりの西洋文明の超克である」p222が印象的だった。 2012/05/05