内容説明
科学的な軍事史の発展の基礎を作った20世紀前半のドイツ軍事学の権威デルブリュックの著作を本邦初訳。主著である『政治史的枠組みの中における戦争術の歴史』のうち、第四巻『近代』の「序言」と第三篇「常備軍の時代」の第四章「戦略」、第七章「戦略家としてのフリードリヒ大王」、及び第四篇「国民軍の時代」の第三章「ナポレオンの戦略」、第四章「シャルンホルスト、グナイゼナウ、クラウセヴィッツ」の各章を収録。『モルトケ』は全訳、『ルーデンドルフの自画像』は抄訳となっている。
目次
『政治史的枠組みの中における戦争術の歴史』
『モルトケ』
『ルーデンドルフの自画像』
解題 ハンス・デルブリュックとその時代(デルブリュック軍事史学をめぐる諸問題;デルブリュックとクラウゼヴィッツ;デルブリュックと第一次世界大戦;デルブリュック対ドイツ最高統帥部)
著者等紹介
小堤盾[コズツミジュン]
軍事史研究家。1963年生まれ。1986年早稲田大学政治経済学部卒業。1993年早稲田大学大学院文学研究科西洋史専攻博士課程満期退学。金沢工業大学国際問題研究所元研究員。これまでに早稲田大学、武蔵大学等の非常勤講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nakaji47
2
ようやく戦略論大系を読み終えました。第12巻はドイツ軍事史に多少理解がないと判りづらい。せめてクラウゼヴィッツとモルトケは読んでおく事をお勧めします。解題が秀逸。当時の状況がよく判りました。2010/02/09
北狐
0
ドイツの軍事史家デルブリュックの著作と評伝。ドイツ軍事史のきわめて高度な研究を見ることができる。2008/10/09
Caivs Marivs
0
「消耗戦略」「殲滅戦略」の概念を打ち出したドイツの歴史学者デルブリュックの思想について簡潔にまとめられている。彼の消耗、殲滅の概念は、現在でもその国の戦争がどのように進められているかを確認するとき、大変参考になる考えで、「機動戦」概念理解にも役立つだろう。しかし、彼の主張で重要なのは、政治指導の中に戦争を位置づけるという作業だろう。そのような考えは、普参謀本部の様な軍事官僚組織が確立されたことと無関係ではないだろう。加えて、現在の複雑な政軍関係理解の一助にもなると思われる。2025/03/20