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内容説明
北米仕様のホンダのスピードメーターが時速百マイルを指す。早送りのビデオみたいに見慣れた景色が後方へとすっ飛んでいく。俺はマシンを加速させていく。お前は劣等感を知っているか。ほんとの劣等感を知っているか。―俺は知っている。6年前、交通事故で亡くした優秀だった兄・究への劣等感を抱きながら高校生活を送る魚住研。バイクで国道を飛ばす瞬間だけ、それを忘れられる…生死ギリギリの走りを繰り返す研。しかし、兄の死という呪縛からは逃れられない。そんな彼の元に、兄の元彼女である森崎京子が教師として現れる。大人に見えて不器用な面もある京子に惹かれていく研だったが、彼女もまた、究の死に囚われていることに気付いてしまう。究を失った6年前から、止まったままの自分と京子の時間。二人の間に存在する、究という越えられない壁―。ほろ苦い初恋を描いた、青春ピュア・ラブストーリー。
著者等紹介
ヤマグチノボル[ヤマグチノボル]
1972年2月、茨城県生まれ。『カナリア~この想いを歌にのせて』でデヴュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のれん
10
登場人物全員がどこか情けない青春劇。北村とか柊先生とかも勝負したり無理難題吹っかけたりと不器用な恋をしてる。みんな壁にぶつかって負けるのを分かって、それでも止められない。 手近な快感に頼ってそれでも、敗北感からは逃げられない。 ほんとの劣等感を知ってるか。このフレーズがかなり響いてくる。誰もが抱える弱虫な感情を知ったとき、人は弱さを初めて受け入れられる。 啓介やカオルのちょっかいも良いテンポだし、良質ラノベといって良い。レースという題材が古く、臭すぎるというところは欠点でもあり本作最大の魅力でもある。2019/06/10
Makos
1
いろいろ回りくどかった展開を吹き飛ばして余りあるくらい京子さんのデレモードが素晴らしい。兄妹とか佐藤とかもいい味出してる。惜しむらくは日立三部作が永遠に完結しないことくらいかな……2014/12/11
菊地
1
追悼その2。ここまで劣等感がクリーズアップされる作品ってのはラノベでは中々読めない。2013/04/14
Ginko
1
展開はだいたい読めたけど描写と構造作りがうまいな、大人と子供っていう。京子先生もかわいいけど、雨宮兄妹が好きだな。2011/10/09
souma
1
小細工のない真っ向からの青春小説。好きなんですよこういうの。2010/10/21