内容説明
サマーキャンプに参加していたハウイは、ほかの少年たちに服をはぎとられ、裸で島に置き去りにされてしまった。もうキャンプにはもどりたくないと、同じ目にあったローラとふたりで島を抜け出し、完全に消えてしまおうとするが…。友だちが作れなかった少年と少女が、途中に出会った人々や、お互いのふれあいを通して信頼しあうことを覚え、成長していく姿を描く意欲作。中学生から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みやび
3
サマーキャンプで服を全て脱がされ裸の状態で島に置き去りにされてしまった少年と少女。ひどいイジメ…凄絶な始まり。力を合わせて島を脱出する2人の逃避行。途中見つけた小屋で服やお金を盗み、嘘をついてホテルに居座ったり、困難に直面しながらも2人で協力してなんとか逃げのびる。お互いに相手を一生懸命に守ろうとする姿が切ない。それぞれに抱く淡い恋心も眩しい。こんな事をしていても盗んだ物のお金を律儀に計算し、後に返そうとする算段をしている所もいじらしい。2019/09/07
You
2
お前はヤギだ、とサマーキャンプで裸にむかれ、そのまま置いてきぼりを食らった13歳の男女2人。原題でもあるヤギは淫ら、罪、生贄の象徴である。そこに牧神パーンの神秘性も重なれば、お互いだけを支えに世界を彷徨う二人は、虐げられた弱者であると同時に、何か力強い原初の伴侶のようにも見えてくる。優しく浮世離れしたハウイと現実的に強かなローラ。純と性が不可分になってゆく性徴期において、同時にそれを拒否する潔癖性を伴いながら、異性を理解し尊重するとはどういうことか、無鉄砲な冒険の中で学ぶ思春期の姿が瑞々しく描かれていた。2023/09/02
muhen
1
名作だと思う