内容説明
膨大な古書の山から、懐かしい本、珍本、均一本、拾い物、古雑誌などを掘り起こし、古書にまつわる豊富な知識と実用を織り込んで、本に出会う愉悦を余すところなく伝える本。激変する出版事情の中、古書街の来し方・ゆく末を追いながら、数々のドラマに充ちた古書の世界の諸相を描き出す。
目次
1 即売展狂騒曲
2 文庫の森をさ迷って
3 生き長らえる新書判
4 “幻の書物”をめぐる人々
5 戦闘的古書マニアの生涯
6 初版は尊し、されど…
7 知識の飢えを充たした事典
8 青春を彩った翻訳文学
9 「バックナンバー」一夕話
10 円本合戦の遺物
11 むかし安本、いま珍本
12 全集叢書に“キキメ”の巻あり
13 古書目録を読む
14 大宅文庫も均一本から
15 戦後漫画の出発
16 復刻で蘇った学究の人生
17 今は昔、場末の貸本屋
18 古書街の来し方、ゆく末
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
2
福武文庫版。「即売店狂騒曲」は古書マニアならではの性癖を描いたルポで、即売会場に一目散に駆けつける冒頭のドタバタからして面白い。私はこうした経験がないのでよく分からないが、一度体験してみたいと思っている。古書店がつぶれずに生きていけるのは、こうしたマニアたちがいるからこそとは思うが、そもそもこの本を楽しく読んでいる自分も、“同じ穴の狢”かもしれない。1992/04/25
nekosuke
2
古書に関する膨大な経験と知識のある紀田氏の著書なのに、自慢や説教めいた話等の負の感じを一切覚えませんでした。素直に内容の情景を想像しつつ、紀田氏の視点を思いながらほんわかと楽しく読めました。自身の感じた楽しさを、目黒氏の解説が的確に解説されているのもよかったです。月日が流れても、色褪せない内容に思います。2014/01/17
久守洋
0
古書に関する基礎的なエピソードがバランス良く配されており、飽きずに読める。数ある古書エッセイと一線を画しているのは著者の造詣の深さと書物への愛情であろう。2009/07/04