内容説明
ハーレムの雑踏にブルックリンの孤独、摩天楼の物憂い神秘…。イメージに満ちたニューヨーク詩篇。
目次
1 コロンビア大学における孤独の詩
2 黒人たち
3 街路と夢と
4 イーデン・ミルズ湖畔の詩
5 農夫の小屋で
6 死の序章
7 都会へ帰る
8 オード2篇
9 ニューヨークからの逃亡
10 詩人ハバナを訪れる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吟遊
2
大不況のニューヨークで孤独に苦しむスペイン詩人の青春はシュールレアリスムとも混じり合う。2015/09/29
nightowl
1
都会の寒々しい孤独の中で燃え滾る詩人の血。印象としてはサンドバーグの「シカゴ詩集」に近い。自分も今ここに生きていることをこんなに熱く感じられているだろうか?と感化されそう。2019/09/07
ちあき
1
グラナダの咳 マドリードの悪寒 / ダカールは怒りにふるえ キングストンは叫びをあげる / 赤い血流が海をかきまぜるその音 / 海底ケーブルがのたうつその音 / マイアミの発疹 ニューオーリンズの発熱 / ニューヨークは嘔吐する ボストンは眠りにおちる / 青の氷山が海へくずれるその音 / 湾岸道が沈みゆくその音 / けしてききとれぬ声が言葉を刻む / リズムを刻む意識を刻む / そしてわたしたちを踊らせる / わたしたちは踊りのなかに溶けてゆく2013/05/07
夕木
0
この長らく抹殺されてきた詩人を誰が無視できよう。「すべてが過ぎたことを知るためにぼくに渡してくれ きみの月の手袋を 草むらで失った きみのもう一方の手袋を ぼくの恋人よ!」「ニューヨークの夜明けは だだっ広い階段で呻き声をあげ(中略)夜明けが訪れても唇で迎える者はいない そこには明日の希望もありはしないのだから」……『空虚のノクターン』と『夜明け』は、とにかく、自然と陰鬱が融合して仕上がったもうひとつの世界。2014/10/10