内容説明
「サラバータ/サラバータ/しずかにわたすこがねのゆびわ/鬼のしらぬうちに/ちょっとかくせ/いいわよ」芹子、百合子、梅子、葵…。健康薬品会社で働く20代の女性たちが、時を経て愛に傷つきながらもそれぞれの人生を生き抜く姿を、童唄の哀しい調べに籠めて描いた力作長篇。野間文芸新人賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エドワード
11
次は20年遡り、故干刈あがたさん描く60年代の青春。<栄養ドリンク><生理用品>製造会社の宣伝部の女性社員たち。80年代なら、さしずめ「女性の感性を生かした広告戦略!」とトレンディなキャッチがつくだろうが、驚くほど地味できまじめな会社生活だ。会社の華道部や労演など、労働者と呼んだ方がぴったり来る。学園紛争の影もちらつき、私たち元ノンポリ学生には想像するしかない時代に、恋愛、結婚、仕事に懸命に打ち込む姿がこの上なく美しい。彼女たちの足跡のあとに、私たちの極楽80年代が築かれたと思うと頭が下がる思いである。2014/05/17
chocona
1
私がまだ実家で暮らしていた頃に母が読んでいたので読んでみたのですが、当時はあまり理解できず断念しました。今読むと母の生きた時代が垣間見えとても興味深い小説でした。2013/07/31