内容説明
心を病んだ一人の女の愛する男への妄執を、ゴシック小説仕立ての怪奇・スリル・サスペンスで描き出した表題作「エミリーに薔薇」他7篇を収録。「アザサロム、アブサロム!」「響きと怒り」など、難解をもって鳴る17の長篇が築く険阻な大連峰を踏破する第一歩として、必読の短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りつこ
10
いや分かりにくい。翻訳も古いのかな。昔はこれくらい硬さの目立つ文章でも違和感なく読めたけれど、今はなかなか理解できない。老化か…(とほほ)。まだ奴隷制も残るアメリカ南部の物語。人種差別に反対する姿勢を表すでもなく事実としてただありのままに描く姿勢に戸惑う。結局歴史的な評価はあとの時代の人間がすることなのだ。「エミリーに薔薇を」は昔読んで強烈な印象が残っていたのだが今読んでも十分面白い。人間の感情は時代が変わっても不変だからこそ人間の内面を描いた小説は面白いのだと思った。2014/04/15
viola
2
私にとって初!フォークナー。難解で有名だけど、まだ短篇だと読みやすいですね。それにしても、ここまで黒人の描写が多いとは。「赤い葉」 「あの夕陽」 「女王ありき」 「過去」 「デルタの秋」など8編収録。2010/04/21
ケント
1
ヨクナパトーファサーガの短編集、しかし響きと怒りやアブサロム・アブサロムを読んでからの方が味わい深い様な気もする。 登場人物もその二作から出てる事が重だし、しかしなぜ八月の光の登場人物は出て来ないのだろう。2025/01/28
まじょるか
1
名家の没落。父のお高くとまったかんじが親戚すらも遠ざけて孤独な一家。ホーマー・バロンへの恋。プライド高い女性+浮気男=○○で○す。こうすればもうよそ見できないでしょ。30代から70代で亡くなるまでのひきこもり。マルケスの「100年の孤独」にも似た生き方の女性いた。2015/04/14
Roti
1
ヨクナパトファ・サーガのなかの一連の作品のなかの短編集。フォークナーの作品では白人、インディアン、黒人の話す英語をどのように日本語に訳すかが、訳者の難しいところであるが、この訳には違和感がある。表題作の「エミリーに薔薇を」はまとまりのある印象に残る作品だ。「デルタの秋」もいい。2013/11/18