福武文庫<br> われらの時代に

福武文庫
われらの時代に

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  • サイズ 文庫判/ページ数 202p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784828830704
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

第一次世界大戦に席捲され、暴力と死の翳におおわれた「われらの時代」の行き場のない不安と焦躁、そこからの脱出の苦闘を、日常生活の断片のスケッチによって描き上げた初期傑作短篇集。ドス・パソス、F.S.フィッツジェラルド、フォークナーら「失われた世代」の聖書として、当時の若い読者の圧倒的な共感を呼んだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

15
ヘミングウェイの短編集。人は助け合い支え合い生きているんだ的な甘ったるい香りは微塵も漂わない世界。人はみな孤独であるということ。生まれるときも一人。死ぬときも一人。そしてその間である人生だって本当はたった一人で歩いていかなければならないということを改めて突きつけられるかのような物語たち。何にも頼らず甘えずにただ孤独に世界を見つめ全てと対峙する姿を知ることは自分自身の支えになる。あと関係ないですがヘミングウェイを読んでいると彼が好んだというモヒートを呑みたくなります。2020/11/06

pen

4
とてもよかった。登場人物はみな、生と死という極限を経験し、なすすべもなく立ち竦む。世界観を根底からゆさぶられた人間は、普通の生活には戻れない。新たに世界との対話の仕方を模索しなければいけない。その模索の過程がこれだ。登場人物はみな、孤独であり、孤独を感じるときにのみ生きているという実感を得られるのだろう。特に「大きな二つの心臓の川」がよかった。山中の川、鱒、人間が一人…その手が、川の流れの中で鱒の背を触るのを私は見た。釣りは、この男にとって世界との対話の仕方=コスモロジーである。2016/03/16

梅子

2
読んでいて驚いたが、余計な装飾や擬音語や感嘆符もなく淡々と事実だけが連なり句読点すら省略される文体、孤独で知恵の回る視点人物の男性が自然への敬愛と人間への諦観もつ点、物語の筋書きと関係なく世界は残酷なまま泰然と存在している点など、そのままコーマック・マッカーシーの作品群に通底していて、明らかに一つの系譜があることが分かる。マッカーシー好きなので当然この作品も抜群に面白く読める。「大きな二つの心臓の川」の良質な釣り小説も素晴らしいが、章の冒頭に断片的に挟まれる闘牛士の死闘に魂が持っていかれそうになった。2025/05/05

六蔵

1
様々な語り口の短編から成る話。本編の面白さもすばらしかったけれども、解説にあったヘミングウェイの文章法が殊に興味を引いた。「わかっていることは何でも消していい」。この思い切りの良さ、省略へ踏み切る強さに惹かれる文体だと思った。2013/08/31

village green

1
ふと思い立って二十何年ぶりに再読。ヘミングウェイなんて趣味じゃないと思っていたけれど、案外愉しめた。ことに最後に収められた「大きな二つの心臓の川」はよかった。ほかの訳もいろいろと読み比べてみたい。2009/12/29

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