臆病な成就

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臆病な成就

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  • サイズ B6判/ページ数 197p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784828823508
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

40すぎまで誰をも受け容れなかった女性の“成就”を瑞々しく描く表題作、老舗に嫁いだ女性の数奇な運命とそれを呑み込む時の流れを重厚に描く「白蛇の家」ほか1篇を収める最新作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

85
二冊目の多田尋子。絶版でネットAmazoneでと思ったら、定価1500円の3~6倍のプレミアで断念。図書館で借りた。表題作を含む中編三篇。初読みの『体温』同様、多田さんの文章は読み易い。表題作が好いです。43歳独身で調剤薬局を営む薬剤師・行子の心のうちを丁寧に紡いだラブストーリーです。結婚に踏み切れないのは、両親(頑固一徹、ワンマンな父を支える良妻の母)がトラウマなのか? 好きだった同期の男と再会。46歳のオンナに火が付きます。仕事ができるが、純粋な行子の女ごころ、歯がゆさがありますが惹かれます。2019/09/14

ぶんこ

39
多田さん2冊目。本当に読み易い。各編の主人公の女性たちの奥ゆかしさ、奥手なところが好ましい。共感できるところ、できないところもありつつ、淡々と進んでいく。一人の女性の心持ちを紡いでいく物語。父に対する反発から結婚を望まな行子さんと吉村さん、声楽家の森子さんと山岡さんの2編のカップルが似ているように感じるのは、男女ともに奥床しいからでしょうか。おっとり、のんびりとした恋物語に癒されました。2019/09/23

ゆきらぱ

31
めちゃ良いです。初出89年から90年の中編3つ。どれもこれも良い。レトロで、地に足がついていて垢抜けた文体です。女性の足音や仕種がはっきりとわかります。 人物の思考が明確で、こんな考え方をすればいいんだなーと思います。2020/12/16

タカラ~ム

13
『多田尋子作品を読む』の第6弾。芥川賞候補になった「白蛇の家」を含む3篇収録の短編集。いずれも「支え合う人たち」が描かれていると感じた。夫婦でもない、親子でもない、兄弟でも姉妹でもない、一見すると希薄そうな人間関係の中で、だからこそ互いに支え合っている人たち。この短編集に描かれているのは、そういう人たちの姿だ。「裔の子」が、女系家族の血のつながりを呪縛として描いたのとは真逆の印象。他人同士だからこそ支え合えることがあるのだと考えさせる短編集でした。2019/11/25

ちーちゃん

11
顔も知らずにお嫁にいくような、女が手に職なんてという時代のお話3篇☆「臆病な成就」お互いに想いあってるのに…遠回りの2人。静かで豊かな心の描写にキュン☆「慰撫」失恋した森子は新しい恋の逆行に戸惑う☆「白蛇の家」老舗問屋に嫁いだ佐知子は夫・浩に一目惚れ。毎晩必ずふたりきりになれる、浩が見てくれなくても話しなくても、浩を見れるだけで嬉しい。複雑な家の事情、弱音を吐く浩が愛しくてたまらない。浩は若くして逝くが、佐知子は何年たっても浩が好きで、それだけでいいと思っている。好かれるより好きがいい、なんだか羨ましい。2020/11/11

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