内容説明
近代日本エリートを育成した旧制一高の高校生気質と敗戦前後の緊張した学園状況を描き、いいだもも、中村稔、吉行淳之介氏達を輩出した“学生による総合雑誌”『世代』の創刊から終刊までを内部から描いた長篇評論。
目次
1 「世代」に託した夢
2 敗戦前後の一高
3 教授群像
4 学内新聞「向陵時報」
5 一高「国文学会」
6 「世代」創刊
7 昭和21年12月まで―第1期
8 昭和23年2月まで―第2期
9 昭和28年2月まで―第3期~第5期
10 美貌のサロン女主人
11 「世代」とは何だったのか
12 逝きし友よ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いわたん
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粕谷 一希の「二十歳にして心朽ちたり―遠藤麟一朗と『世代』の人々」を読んで「世代」と遠藤麟一朗氏に興味を持った。学生時代に読んだ倉田卓次の「裁判官の書斎」にも遠藤氏の名前が出ていたのを思い出した。いずれも遠藤氏の並はずれた才人ぶりに触れており、同氏についてさらに知りたくなる。2012/07/14
rbyawa
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i119、一高は現在の東大教養課程、むしろ帝大よりもその特性が際立っていると言われた学校であって、この本の頃はちょうどその最後の時期くらいか。しかし、まあ、なんとも悪い意味で同人誌らしい雰囲気だなぁ…。権力を持つ相手だからと大した意味もなく噛み付きそれを得意気に言い触らし、有名人の後ろ楯を誇って他の雑誌を侮り、芥川賞に認められた同胞をもってまわった言い回しで罵倒する。実際に戦地にいた30代より行くか行かないかの自分たち20代のほうが辛いなどの言い草もなぁ。ただ、そこはかとなく自覚が透けて見えもするかこれ。2019/01/10