内容説明
東京・下町にある居酒屋の暖簾をくぐる仲間たちの間に漂然と巻き上がる一陣の野分。市井の物語を軽妙な語り口で綴り、その底にある荒涼とした風景を現前させた力作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
博多のマコちん
4
今から30数年前の昭和の最後頃の作品集を久ぶりに再読。主人公は一介の勤め人である中年男なのに、その屈折した「生と死、現実と空想の世界、を往復するような心理描写」に惹かれるものがあって、当時何冊かこの人の作品を読みました。こうやって読み返すと、当時感じた味わい深さを改めて知りジットリとした読書タイムになりました。著者石和鷹(イサワタカ)さんは文芸雑誌の編集者(長)から転じた作家で、もっと活躍すると思っていたのに早く亡くなってしまい、この読書メーターでも残した作品(本)の登録数が少なすぎるのがとても残念です。2023/08/11