内容説明
山霊へ召されたように失踪した愛犬への思いを描く表題作、現代の荒野に生きる様々な女たちを優しく見守る「仙人掌」など、生と死の奥に流れる女の哀しみと激情を円熟した筆致で浮彫りにした最新作品集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピンガペンギン
25
表題作は17年ともに暮らした愛犬の最期の話。「仙人掌」(1984)は少女が監禁されて刺された事件など世相をちりばめながら、主人公の心境を繊細に描写する。どの短編も文章が美しく読ませる力がある。「古代裂」戦後すぐの「狂気のような時代」について。当時の知り合いのその後を追うにつれて、時代や街並みの変化が浮き彫りに。どの作品も良かったのですが、「蟻の列」が一番かな。苦い結末でこの主人公は嫌なやつだと思いもするが、最初の方を読むと「自分は敗北者だ」と言っている。最後に俳句。「生れきて蟻なりければ蟻の列」2025/03/18
熊猫親父
0
飼い犬の話、柴犬好きならば是非!