内容説明
林眞須美は本当に「毒」を入れたのか?林家を長年取材してきた研究者が、いびつな死刑囚の「実像」と事件の「真相」に迫る!
目次
プロローグ 二〇〇六年、大阪拘置所の面会室 収監以来二〇年、未だあきらめない約束
第1章 錯綜―あの日、事件現場で何が起きていたのか?
第2章 迷走―死刑判決に至るまでの「から騒ぎ」
第3章 応報―保険金詐欺事件と奇妙な人間関係
第4章 虚構―過熱するマスコミが作り上げた格好の犯人像
第5章 愛憎―夫婦と子どもたちの二〇年
エピローグ 「疑い」だらけの死刑判決 今も続く“獄中訴訟”に込めた想い
眞須美が長男へ宛てた手紙
著者等紹介
田中ひかる[タナカヒカル]
1970年東京都生まれ。歴史社会学者(学術博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
85
和歌山カレー事件20年目の真実というサブタイトル。動機も自白も物証もない死刑判決というのは確かに不可思議な事件だと思う。しかし20年目の真実という割りに書かれていることは新聞や週刊誌、テレビで報道された事のまとめだったり読後感は???期待して読んだだけにガッカリ。図書館本2018/12/04
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
57
和歌山カレー事件について2冊目の本。事件の前後や判決、家族などについて取材を元に真相に迫った1冊。林真須美が、マスコミ関係者に放水するシーンや過去に砒素を用いた保険金詐欺事件をはたらいていたことから完全に犯人で間違いないと思い込んでいた。しかし、この地域では何件もの殺人事件や飼い犬の毒殺事件が起こっていたり、新しい住民と古い住民の軋轢があったりと誰もが犯人になる可能性もわずかではあるがありえるかも。真相は藪の中だが、仮にワイドショーや近所の人たちの証言によって犯人に仕立て上げられてしまっていたのなら恐い。2019/11/09
おかむら
38
林真須美は冤罪なのか?を検証。なるほど確たる証拠は無いのはわかった。わかったけど…。この本でもそうだし、何年か前に出た林真須美本人の書簡集読んだ時も思ったけども、なんかこの人の性格苦手でどうも共感しづらい。息子のドキュメントをNHKでやったのも見たけれど、子どもたちがその後どんなにツライ人生になってるかってことにあんまり思いを致してないような気がすんだ林真須美…。そしてもし冤罪なら真犯人は? あの地区(土地)になにかあるのか?と残穢(映画)みたばっかりなのでそんなことを想像して怖くなる。2018/08/27
レモン
36
確たる証拠がなくても死刑にされてしまうこの法治国家の恐ろしさ。確かに保険金詐欺はしているので、善良なる一市民ではないだろうが、イコールカレーに毒を盛ったかと言うと違うだろう。最近のミステリーを読んでいると、スタイリッシュに理論詰めで真犯人を追い詰めており、昨今の科学捜査と併せて警察はとても優秀なんだろうと思ってしまうが、所詮はフィクション。優秀な人材も全都道府県の市町村に潤沢にいる訳でもないだろうし。令和の時代には少なくとも罪のでっち上げは根絶してほしい。2022/01/10
たぬきごんべい
34
林真須美は限りなくクロだ。この本を読むまでは今までの先入観もあり、死刑で当然と思っていた。林真須美は犯人として実に絵になるし、毒を使った保険金詐欺も行っていた。だけど物証は限りなく無い。消去法で犯人と断定して良いのだろうか?亡くなった方の無念と和歌山県警のメンツは良く分かるが、本当の真相は犯人しか解り得ない。冤罪だったら林真須美の子どもたちも可愛そうだ。★3.52019/04/04