内容説明
高砂の夫婦は別居婚だった!芥川賞作家が読み解く、現代にも通じる能のドラマ。
目次
第一章 添い遂げる愛
第二章 跡を追う愛、追えぬ愛
第三章 妬む愛
第四章 叶わぬ恋
第五章 苦しめる愛
第六章 待つ愛
第七章 光源氏をめぐる愛
第八章 白拍子たちの愛
第九章 狂う愛
第十章 愛し子を探して
第十一章 親を思う心、子を思う心
第十二章 父に愛されない子
第十三章 男たちの愛
第十四章 主従の愛
第十五章 草木と通い合う愛
第十六章 和歌への愛
第十七章 音曲への愛
第十八章 神の愛
著者等紹介
松村栄子[マツムラエイコ]
1990年『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞、92年『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
101
お能の曲を「愛」という切り口で整理して綴った味わい深いエッセイ。添い遂げる愛/妬む愛/狂う愛などともに、男同士の愛や主従の愛など、男女以外の愛の姿も紹介されている。松村さんが茶道に造詣が深いことは承知していたが、お能もこんなに愛しておられたんだ。能楽はつくづく男性本位だと感じるが(「砧」「松風」「井筒」の待つ女はその典型)、だからこそ「草紙洗」の小町に喝采を送る著者の気持ちがよくわかる。西洋の愛とは異なり、日本では、愛は執着であり煩悩なのだろうか。夢幻能という形式が、その心性を象徴するような気がしてきた。2025/11/06




