内容説明
色や形から卵黄・卵白、ヒナの孵化まで、鳥の卵には進化の秘密がつまっている!卵に取り憑かれたコレクターや博物学者の多彩な逸話を交えながら、美的にも機能的にも「完璧」な卵に秘められたいくつもの「なぜ?」を解明する。
目次
第1章 卵採りとコレクター
第2章 卵殻ができる仕組み
第3章 卵の形の謎
第4章 卵の色―色がつく仕組み
第5章 卵の色―なぜ進化したのか?
第6章 卵白と微生物戦争
第7章 卵黄、卵巣、受精
第8章 産卵、抱卵、孵化
第9章 エピローグ―ラプトンの遺産
著者等紹介
バークヘッド,ティム[バークヘッド,ティム] [Birkhead,Tim]
イギリスの鳥類学者、行動生態学者。シェフィールド大学動物学教授。王立協会フェロー。鳥類の生態を研究するために、世界各地を訪ねている。「インディペンデント」「ニューサイエンティスト」「BBCワイルドライフ」など多くの紙誌に寄稿。『鳥の卵―小さなカプセルに秘められた大きな謎』は、一般向けの優れた普及活動に与えられる、ロンドン動物学会の「クラリヴェイト・アナリティクス賞」を受賞
黒沢令子[クロサワレイコ]
鳥類生態学研究者、翻訳者。地球環境学博士。NPO法人バードリサーチで野外鳥類調査の傍ら、翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
75
図書館ブラウジング中に見つけた父と母への見繕い本。まるで碧玉のような色合いを持つ海鴎の卵の写真が目に飛び込む。作者は海鴎を主に鳥類の卵と生態を研究者だ。そんな彼が手に入れた、コレクター垂涎の卵コレクションから卵の奥深さに触れる。種類も豊富なラプトンのコレクションを手に入れるもデータが書いていなくて頭を抱える作者。頭の中のラプトン氏に「データとは一体、何か?」を問いかける場面や文学作品からの卵描写の引用などの知的な茶目っ気も文章に潜ませている。これを気取っていて冗長と見なすか、面白いと見なすかは別れるだろう2018/09/01
還暦院erk
9
図書館本。時間をかけて精読読了。読みながらウミガラスやキクイタダキやシジュウカラに思いをはせた。もちろん、有難くかつ気の毒な鶏たちのことも。そういえば大昔、「子供を卵で産みたい」と言った有名女優がいたなぁ。もし人間が卵生で、夫婦交代で抱卵する生き物だったら社会はどうなっていたのかしらなんて想像したりして。「人間の卵」は美しいのだろうか?2019/01/21
Susumu Kobayashi
8
卵について初めて知ることが多かった。卵白は一様だと思っていたが、外水様卵白、濃厚卵白、内水様卵白、カラザ状卵白層から成っているという(p. 168)。染料を含ませた餌を与えることにより卵黄が層状に染まったことから、卵黄が層状に蓄積されることが判明(p. 197)。抱卵中に転卵するのは「卵内の栄養や水分を拡散しやすくするとともに、胚が卵黄と卵白に対して最適な位置になるようにする」(p. 238)ため。孵化直前の卵が接触していると、音で互いに交信し合って、ほぼ同時期に孵化する(p. 247)というのは驚きだ。2018/11/18