精神医療 〈86号〉 特集:相模原事件が私たちに問うもの

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  • サイズ B5判/ページ数 143p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784826506618
  • Cコード C3047

出版社内容情報

本来警察が持つ司法の権限に対し、精神科医はどこまで責任を持つべきか。司法と医療の関係性と法制度の改革を検証した特集号。精神科医の仕事はいうまでもなく治安の維持ではなく、治療・健康維持推進である。しかし精神科医療の領域では措置入院という強制入院の制度があるため、医療と司法の境界が曖昧に見えることがある。2016年に発生した相模原事件の報道では、措置入院を適用させなかった医療側の落度で19人が死んだかのようなイメージが出来上がっていた。
この事件を受け、平成29年精神保健福祉法改正の素案には、当初予定されていなかった措置入院制度に関する大幅な変更と指定医取得に関する修正・変更が書き込まれることとなった。この法改正の主眼目は保安であり、犯罪の防止であることが明言されているが、同時に「医療の役割は、治療、健康維持推進を図るもので、犯罪防止は直接的にはその役割ではない。」との矛盾する文章も盛り込まれている。
犯罪を犯す前に身柄を拘束することは予防拘禁であり、重大な人権侵害となり得る。本来警察が持つ司法の権限に対し、精神科医はどこまで責任を持つべきか。医療と警察の協力体制はどのような形が理想的なのか。厚労省による「検証及び再発防止策検討チーム」に参加した精神科医を加えた座談会を収録し、当事者の主張を汲み取りながら、司法と医療の関係性と法制度の改革を検証する。


[巻頭言]相模原事件が私たちに問うもの(太田順一郎)
[座談会]相模原事件が私たちに問うもの(井原裕+平田豊明+中島直+[司会]太田順一郎)
行為における自由意志と責任――相模原事件に関する河合幹雄氏の諸論を批判的に検証する(野崎泰伸)
接点はどこにあるのか(松永真純)
相模原事件を受けて、これからの策動にどう抵抗するのか(桐原尚之)
美しい日本――相模原事件について(富田三樹生)
当事者の立場から考える自立とは(熊谷晋一郎)
共に生きる社会を築く難しさを内にみつめて(大塚淳子)
[コラム+連載+書評]
[視点47]7ギャンブル依存症に関する私見――依存症概念との決別(河本泰信)
[連載]異域の花咲くほとりに 2――コンピューターが人間に勝てない理由について(菊池孝)
[短期連載2]国家の意志と精神保健福祉士のポジション――メンタルヘルス戦略システムの調整装置としてのPSW(古屋龍太)
[コラム]私の半生(奥野洋子)
[書評]『もうひとつの「帝銀事件」―二十回目の再審請求「鑑定書」』浜田寿美男著[講談社刊](中島直)
[書評]『未成年』イアン・マキューアン著(村松潔訳)[新潮社刊](田中容子)
[書評]『もういちど自閉症の世界に出会う―「支援と関係性」を考える』エンパワメント・プランニング協会監修/浜田寿美男・村瀬学・高岡健編著[ミネルヴァ書房刊](広沢正孝)

編集後記(中島直)

太田順一郎、中島直[オオタジュンイチロウ ナカジマナオシ]

「精神医療」編集委員会[セイシンイリョウヘンシュウイインカイ]

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