内容説明
大阪地裁は、裁判員裁判において殺人罪で起訴されたアスペルガー症候群の男性に検察の求刑(16年)を上回る20年の判決を言い渡した(2012年7月20日)。判決要旨は、反省もなくこのまま社会復帰すれば再犯の虞れがある、という。しかし、治療環境のない刑務所に長期にわたって収容すれば「反省」に繋がるわけではなく、発達障害が犯行の動機になっているわけではない。こうした現状に警鐘を鳴らし、発達障害概念の再検討を踏まえ、理解と支援の必要性を説く『やさしい発達障害論』の続編。
目次
第1部 裁判員制度下の発達障害
第2部 自閉症スペクトラムと少年・刑事事件(自閉症スペクトラムの司法事例;自閉症スペクトラムと精神鑑定;自閉症スペクトラムを有する者の訴訟能力;発達障害の精神鑑定から司法福祉へ;少年事件における精神鑑定はどうあるべきか?)
第3部 発達障害というアポリア(発達障害とは何か;発達障害を理解するために;ひきこもりの中の発達障害;パーソナリティ・パーソナリティ障害・発達障害・病前性格の位置関係;文化多様性からみた自閉症スペクトラム―非定型発達者から教えられたこと)
著者等紹介
高岡健[タカオカケン]
1953年生まれ。精神科医。岐阜大学医学部卒。岐阜赤十字病院精神科部長などを経て、岐阜大学医学部准教授。日本児童青年精神医学会理事。雑誌「精神医療」(編集=「精神医療」編集委員会、発行批評社)編集委員をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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