内容説明
あなたが裁判員になったら、精神鑑定の実際を知ることは避けて通れない課題です。精神障害と犯罪は、直接結びつくわけではありませんし、精神鑑定はその人の自由意思についてまで立ち入って判断できるわけではありません。精神鑑定の具体的事例をとおして精神科医療と精神医学の現在について、裁判員裁判に不可欠な知識を網羅した完全対応版です。
目次
1 市民のための精神鑑定 総論(刑事手続;責任能力鑑定;刑事精神鑑定の種類;精神鑑定の実際;精神鑑定の聴き方・尋ね方)
2 市民のための精神鑑定 各論(私的精神鑑定;酩酊事件;双極2型障害;外国人に対する精神鑑定の諸問題;訴訟能力鑑定)
著者等紹介
高田知二[タカタトモジ]
1962年北九州市で生まれる。1986年京都大学理学部を卒業し、1991年名古屋大学医学部を卒業。岐阜大学医学部神経精神科に入局し、岐阜赤十字病院精神神経科医師、共立菊川総合病院精神科医長、岐阜大学医学部附属病院精神神経科講師などを経て、2009年からは岐阜県立多治見病院精神科部長。専門は、精神医学・精神医療一般、精神病理学、老年精神医学、総合病院精神医学、司法精神医学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新橋九段
3
裁判員裁判で精神鑑定に直面する市民をターゲットに記されており全体的にわかりやすい。法廷で精神鑑定を聞く時の注意点だけでも把握しているとだいぶ違うかと。2018/04/04
みみみ
2
◎2014/10/07
Akihiro Nishio
2
とてもわかりやすかった。特に前半の総論編が良かった。「被告の1つ1つの行動を指して、その時の被告の責任能力を問われてもわからない。鑑定者が語れるのは、その時の行為の総体としての精神状態である」というのは金言であった。一方で各論に入ると腑に落ちないこともある。それは、「正常な人の人格の揺れ幅をどこまで認めるか」という決して意見が収束することのない根源的な問いが横たわっているからであろう。しかし、精神鑑定について、ここまでわかりやすく解説された本はなく、裁判員制度がはじまった今、非常に意義深い本であることは間2012/04/16