シリーズ「教育改革」を超えて
検証・東京都の「教育改革」―戒厳令下の教育現場

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  • サイズ A5判/ページ数 220p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784826504003
  • NDC分類 373.1
  • Cコード C1037

出版社内容情報

2004年春、都立学校の卒業式・入学式の式場は異様な雰囲気に包まれた。各校の校長は、事前に全教職員に対し、壇上正面の「国旗」と「都旗」に向かって起立し、「国歌」を斉唱せよ、という職務命令を発していた。違反した場合は、処分。違反を摘発するため、全式場に教育委員会の職員700余名が配置され、教職員を監視した。

行政が教育内容に介入する「10・23通達」に始まる都教委の強権的施策は、すでに250余名の大量処分者を出している。東京の「改革」を全国へ、日本型グローバリズムを標榜する都教委を徹底的に批判する。


まえがき

■第1部〈対談〉「非国民」の作られ方
▼斎藤貴男vs.青木茂雄+永野恒雄(司会)
戒厳令下の東京都の教育/二五〇名に及ぶ大量処分/手続き上の問題点/石原体制が狙っているもの/都教委の動きと校長の対応/都教委は一枚岩なのか/職務命令が校長の自己責任となる仕組み/組合はなぜ闘わないのか/板橋高校事件とは/3・11通知の問題点/拡大する授業内容の管理とその背景/処分問題についての取り組みと展望/イラク戦争で見えてきたもの/日本人の「国民性」とは/都教委の誤算/三権分立の形骸化/今後の展望と教育の役割

◎序章 暴走を続ける東京の「教育改革」【柿沼昌芳】
すべての権限を校長に/教師を後景に追いやった『報告書』/PTA会長に知らせて戒告処分/学習指導要領を根拠にしての暴挙/教育委員会が一人ひとりの教員管理へ/「立つ」、「歌う」、「弾く」義務はない

■第2部 東京都教育委員会の「教育改革」の実態

◎第1章 二〇〇四年春、東京の卒業式・入学式【青木茂雄】
ドキュメント、異様な光景が現出した都立学校の卒業式/〈予防訴訟〉と卒業式・入学式における〈不起立〉の闘い/石原・横山教育体制の究極のねらいい

◎第5章 「予防訴訟」を提訴して【片山むぎほ+木村葉子+加山みどり】
前夜編/経過編/裏話編/総括編

◎第6章 「君が代」不起立で嘱託採用取り消し【平松辰雄】
「まさかクビになることはあるまい」/私の「声」に大きな反響

◎第7章 予防訴訟と「君が代」の履歴【川口和也】
二〇〇四年三月/「君が代」の誕生/「不老不死思想」と「君が代」/削除された「君が代」の履歴/帝国時代の「日の丸・君が代」

◎終章 石原型「教育改革」の終焉 【永野恒雄】
イラク人質事件と自己責任論/小泉首相の憲法感覚/石原都知事の憲法廃棄論/国家・民族というイデオロギー/一九八〇年代以降の反動化とその終焉/小泉首相の誤算/石原都知事のテロ容認発言/第二のテロ容認発言はあるか/石原型「教育改革」のゆくえ

*付録1 アンケート:都教委の「10・23通達」と「国旗・国歌」強制
*付録2 資料篇 【青木茂雄+永野恒雄+小林和】

あとがき

好評「SERIES「教育改革」を超えて」第三巻。「東京都の教育改革」はどこへ向かっているのか。東京都在住以外の方にも知っていただきたい、資料を充実させた最新レポートです。

内容説明

2004年春、都立学校の卒業式・入学式の式場は異様な雰囲気に包まれた。各校の校長は、事前に全教職員に対し、壇上正面の「国旗」と「都旗」に向かって起立し、「国歌」を斉唱せよ、という職務命令を発していた。違反した場合は、処分。違反を摘発するため、全式場に教育委員会の職員700余名が配置され、教職員を監視した。行政が教育内容に介入する「10・23通達」に始まる都教委の強権的施策は、すでに250余名の大量処分者を出している。東京の「改革」を全国へ、日本型グローバリズムを標榜する、都教委を徹底的に批判する。

目次

第1部 対談 「非国民」の作られ方
暴走を続ける東京の「教育改革」
第2部 東京都教育委員会の「教育改革」の実態(二〇〇四年春、東京の卒業式・入学式;七生養護学校事件とその背景)
第3部 私が体験した「東京都教育委員会」(保護者から見た七生養護事件;「反戦」ブラウス事件の経過;「予防訴訟」を提訴して;「君が代」不起立で嘱託採用取り消し;予防訴訟と「君が代」の履歴)
石原型「教育改革」の終焉
付録

著者等紹介

柿沼昌芳[カキヌママサヨシ]
1936年生まれ。元東京都立高校教諭。現在、全国教育法研究会会員、明治大学・中央大学などの非常勤講師

永野恒雄[ナガノツネオ]
1949年生まれ。都立大崎高校教諭。全国教育法研究会会長、日本教育法学会理事、歴史民俗学研究会会員
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感想・レビュー

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katoyann

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「国旗掲揚及び国歌斉唱について」という都教委の通達から生じた諸問題を都立高校教員が検証した本。石原都政下では指導主事を各学校に配置して、教育内容や人事権を掌握するという管理体制が強化された。卒業式における国旗掲揚と国家斉唱の義務化は、管理統制の一例だが、その様子は戦前の勅令主義の教育と構造的に類似する。さて、通達を受け、卒業式に不起立・不斉唱が確認された教員が大量処分された。これは憲法19条及び旧教基法第10条違反である。いわゆる「不当な支配」である。今の極右化傾向に繋がる歴史として読む価値がある。2023/02/08

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